2021 Fiscal Year Research-status Report
他家積層線維芽細胞シート移植が術後気管支断端にもたらす血流増強効果の検討
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21K08904
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 俊樹 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50457305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 順一 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10725683)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管新生 / 成長因子 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット口腔粘膜組織より線維芽細胞を単離し、積層線維芽細胞シートを作製した。この細胞シートによる組織修復の機序を検証するため、細胞シートが分泌する創傷治癒に関わる成長因子、サイトカインをELIZA法で測定した。測定対象はVEGF、HGF、TGF-β、Angiopoietin-1、Angiopoietin-2、MCO-1とし、細胞シートが完成した際の培養液上清に含まれる濃度を、新鮮培地と比較することで解析したところ、いずれの因子も有意に高値であった。よって、積層線維芽細胞シートは創傷治癒に関わる成長因子、サイトカインを分泌する能力があることが判明した。また、同試料を用いて、血管内皮細胞での血管形成アッセイを行ったところ、新鮮培地と比較して、有意に血管形成を促進する効果があることが示された。よって、生体内への積層線維芽細胞シート移植後、これらの因子が局所に働きかけることで、組織治癒、血管新生が促進する可能性があることが示された。 気管支断端への積層線維芽細胞シートの移植により、気管支断端に組織形成が促進され、力学的補強効果があることは示してきたが、今回の結果から、気管支断端瘻の発生に最も関与していると推察される局所の虚血が、血管新生による血流増強効果により回避される可能性が示された。 上記は、研究計画書に記載した研究方法「A.積層線維芽細胞シートの血管新生促進能の評価」の計画を概ね満たすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット口腔粘膜組織より作製した積層線維芽細胞シートが、VEGF、HGF、TGF-β、Angiopoietin-1、Angiopoietin-2、MCO-1といった創傷治癒に関わる成長因子、サイトカインを分泌する能力があることが判明した。この結果から、研究計画の「A.積層線維芽細胞シートの血管新生促進能の評価」について、概ね期待した成果が得られていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では期待している結果が順調に得られている。研究計画書に沿って、積層線維芽細胞シートの生体内への移植実験を行い、積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の血管新生、血流変化の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり、概ね計画通りである。次年度使用額は実験動物購入費に充てる。
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