2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪幹細胞による肺胞バリア機能強化とALI/ARDSへの新たな細胞治療の基礎研究
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21K08907
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石井 光寿 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (60783066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 拓郎 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (00584749)
土谷 智史 富山大学, 学術研究部医学系, 特命教授(教授クラス) (30437884)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 肺胞バリア機能 / 急性肺障害/急性呼吸窮迫症候群 / 慢性閉塞性肺疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、骨髄や脂肪、臍帯などから採取される多分化能を持つ細胞である間葉系幹細胞(MSC)による肺胞上皮や内皮細胞を介したバリア機構の維持・修復力について解明することである。 本年度はARDSでの解析を確実に進めるための前段階として、呼吸器基礎疾患の一つである慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するMSC投与による治療効果を検討した。MSC投与は応用範囲が広く、これまで多くの投与経験があることから、高い安全性が強みであるものの、静脈内注入後にMSCが肺に長時間留まらないことが課題となっている。他の研究グループで行われた急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における臨床試験では、投与2回分のMSCを1サイクルとして、2サイクル(合計4回)以上投与しており、頻回投与を必要としている。これまでに培養環境を改変して得られる新規開発細胞をCOPDモデルマウスで静脈内投与すると、通常の培養細胞よりも長い期間、肺に生着し、抗炎症、免疫抑制作用により組織障害を抑えるという知見が得られた。 COPDの症状として、正常肺と比べてVEGFおよびVEGFR-2の発現が低下することが知られている。この独自開発した細胞をCOPDモデルマウスに投与すると生着した肺組織で肺毛細血管内皮細胞と筋線維芽細胞への高効率な分化誘導を示し、通常培養の臍帯MSCを投与するよりも顕著な有効性が確認された。細胞投与後の肺組織から得られた単核球のフローサイトメトリー解析からは細胞投与群のマクロファージにおいて、M2マクロファージへの極性変化が見られ、M2マクロファージによる組織修復への関与も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は慢性閉塞性肺疾患COPDにおける間葉系幹細胞治療の機能評価を実施し、その成果について論文投稿の準備中である。ここで得られた知見により当初の予定通り、急性肺障害におけるバリア機構の維持・修復力の評価に向けて順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスおよびラットへLPSを投与することによりARDSモデルを確立し、LPS投与量の変化により、生存比較実験を行う。 生存ラットは、細胞治療後7日目に肺を摘出し、病理所見や免疫染色による評価を行う。
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Causes of Carryover |
本年度はマウスモデルでの解析および評価に時間を要したため、次年度使用が生じた。残額はラットALI/ARDS細胞治療モデルの作製に係る費用に充当する。
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Research Products
(1 results)