2021 Fiscal Year Research-status Report
悪性胸膜中皮腫組織内マイクロバイオータと病態との相関に関する検討
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21K08916
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Research Institution | Yamanashi Prefectural Hospital Organization |
Principal Investigator |
樋口 留美 地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院(がんセンター局ゲノム解析センター), ゲノム解析センター, 研究員 (50895795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弘津 陽介 地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院(がんセンター局ゲノム解析センター), ゲノム解析センター, チーフ研究員 (10793838)
後藤 太一郎 地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院(がんセンター局ゲノム解析センター), ゲノム解析センター, 研究員 (80317148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / microbiome |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年1月~2020年8月に当院で悪性胸膜中皮腫の治療を行なった8人を解析対象とし、全員の治療前腫瘍生検検体および3人の化学療法後手術検体を使用した。FFPE標本よりからlaser capture microdissection法を用いて腫瘍部のみを選別し、QIAamp DNA FFPE Kit (QIAGEN)を用いてDNAを抽出した。また、手術施行例では腫瘍を含まない正常肺胞組織からDNAを抽出した。 抽出したDNAに対して、16S rRNA遺伝子解析を施行した。Platinum PCR Super Mix High Fidelity (Thermo Fisher Scientific) を用いて、フォワードプライマー (16S_rRNA_V4_515F)とリバースプライマー (16S_rRNA_V4_806R) で増幅させた。PCR産物をアガロースゲル電気泳動で確認した後に、精製、ライブラリー構築、次世代シークエンス解析を行った。SILVA (SSU123) 16S rRNAデータベースを参考に、RDP (Ribosomal Database Project) 分類器により各OTUの代表配列を分類し、門から種への分類を行ったところ、8症例の腫瘍検体で共通の菌種が2種 (Streptococcus australis, Ralstonia pickettii) 同定された。これらの細菌は悪性胸膜中皮腫に特異的な細菌叢である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体からのDNA抽出およびシークエンス解析結果より菌種の同定ができており、本実験系の確立ができている事が確認できた。また、組織検体を含まずパラフィン包埋のみのサンプル検体では細菌群の検出がなかったことから、contaminationの影響を除外を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
悪性胸膜中皮腫患者の症例数を増やすことでデータの信頼性を向上させる。また、アスベスト吸入歴のある非中皮腫症例や、中皮腫以外の肺疾患(肺癌など)でも同様の解析を行い、それらと比較検討することで悪性胸膜中皮腫に特異的な細菌叢を同定する。臨床データを集積し、細菌叢と予後との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品を効率的に使用した結果、8640円の残額が生じ、来年度の購入品に充てる予定である。
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