2021 Fiscal Year Research-status Report
モーションセンサからの位置情報を利用する神経筋反応評価アルゴリズムの開発
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21K08921
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 のぞみ 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30444409)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経筋反応 / モーションセンサ / 磁気センサ / 加速度センサ / 1軸センサ / 3軸センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
手術中における筋弛緩のモニタリングや、神経筋反応の状況を的確に把握することは、周術期における患者の安全管理において極めて重要である。筋弛緩のモニタリングは、運動神経を2Hzで2秒間4連続刺激を行い、それによって誘発される筋肉の動きを評価することにより行われている。 今まで開発した1軸のモーションセンサによる母子内転筋の動きの評価では、以下の問題点があることが明らかとなった。母子内転筋の収縮による動きは、3次元的な動きになるため、センサの付け方によって、センサの動く方向が磁気の地軸方向と平行になる場合は得られる信号が最大となり、地軸と直交する場合は最小となり、場合によっては測定限界以下となってしまうことが判明した。ただし、TOF比として1回目と4回目の動きの比率を比較する場合は、測定中の4回において指の動きの軌道がほぼ同じであれば、正しく測定出ることが判明した。ただし、地軸と直交に近いと、信号強度が弱いため、誤差も大きくなることが判明した。また、体位変換などがあり、指の描く軌道と地軸の関係が少しでも変化すると、絶対値としての得られる信号強度が変わってしまうため、例えば筋弛緩薬を入れる前のコントロール値との比較は不正確となるか可能性が示唆された。 3軸の磁気センサや加速度センサから構成されるモーションセンサは、瞬時に位置情報を得ることができる。この利点を活かし、1軸センサに起因する問題を解決し得る3軸モーションセンサを用いた母指内転筋収縮反応を評価するアルゴリズムの開発に取りかかかった。次年度は複数のモーションセンサを用いた動作分析を、第3年度はニューラルネットワークを用いたパターン認識によって、神経筋反応評価アルゴリズムを開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一個の1軸のモーションセンサから得られる位置情報から、電気刺激時の母指内転筋収縮の強度を客観的に評価するアルゴリズムを作成し、その問題点を検討した。母子内転筋の収縮による動きは、3次元的な動きになるため、センサの付け方によって、収縮の強度の評価にばらつきが出ることが見出され、1軸センサでは限界があることが判明した。そこで、3軸の磁気センサによる母子内転筋収縮反応を評価するアルゴリズムの開発に取り掛かっており、現在開発中であるが、現時点では開発に至っていない。本年度中に開発を終える予定であったので、研究は遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)モーションセンサ、脳波計、表面筋電図の計測 健常者を被験者として、複数個のモーションセンサを対象とする運動に適切な部位に装備し、収集される位置データから運動力学を用いて各部位の動きや姿勢を解析し、それぞれの運動の特徴を、数値化・パターン化する。また、健常者を被験者として、ワイヤレスの14チャンネル脳波計で脳波を、ワイヤレス筋電計で注目する部位の筋肉の表面筋電図を計測し、運動と神経筋反応との相互関係を解析するためのデータを得る。 2)運動機能障害予知に資する神経筋評価アルゴリズムの開発 運動と脳波、表面筋電図との相関関係を、多変量解析やシステム同定の手法で検証する。 モーションセンサ、脳波計、表面筋電計の収集データを基に、深層学習・ニューラルネットワークによるパターン認識の手法を用いて、神経筋反応の特徴量を同定し、モーションセンサの位置情報から、運動機能障害予知に資するための神経筋反応評価アルゴリズムを開発する。
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Causes of Carryover |
情報収集のための学会出張に参加しなかったことで旅費の発生がなかったことなどもあり、次年度使用額が発生した。今後の研究推進方針に則って研究を行うことにより、交付額相当の経費が必要となる。
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