2022 Fiscal Year Research-status Report
Examination of the effect of neurokinin 1 receptor splicing variant expression on cancer-related thrombosis
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21K08932
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
濱田 宏 東京医科大学, 医学部, 教授 (10218539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 俊晴 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (60284197)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニューロキニン1受容体 / アプレピタント |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までヒト単球系細胞THP-1に完全長ニューロキニン1受容体(NK1R)は構成的に発現していないが、プラスミドを用いたエレクトロポーテーションにより同遺伝子がメッセンジャーRNAレベルで発現しうる事を確認していた。今年度はウェスタンプロットにより、たんぱくレベルでも完全長NK1RがTHP-1に発現しうる事が確認された。一方、生理的な細胞刺激でも完全長NK1Rが発現可能である事を確認するため、THP-1をリポポリ多糖LPSで刺激し同遺伝子が遺伝子ならびにたんぱくレベルで発現する事を確認した。 これまで単球が関与する凝固活性亢進に関連する分子機構としてアポトーシス誘導とそれにともなうホスファチジルセリンの細胞膜表出に注目してきた。しかし今回、THP-1から切り出される小胞に組織因子が発現していることに着目し、細胞上清の組織因子活性を測定したところ、アポトーシス誘導刺激のひとつである低温刺激により組織因子放出が亢進する事が確認された。またフローサイトメトリーを用いた観察により、組織因子を発現した小胞は、アポトーシス小胞と異なる小胞である事が確認された。 さらにトロンビン受容体を活性化する薬理作用を持つTrap-6でTHP-1を刺激し、上記測定系で細胞上清中の組織因子活性を観察したところ、Trap-6は組織因子活性を増加する事が確認できた.また臨床的に使用可能なNK1R受容体阻害薬であるアプレピタントがTrap-6が惹起する組織因子活性増加を抑制する事も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者である東俊晴の主たる業務が感染症に特化した研究開発型医療センターの手術関連診療部門長であることから,2022年の新型コロナウイルス感染第7波ならびに第8波への対策にエフォートの多くを割かざるを得なかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の当初の仮説では,単球由来凝固活性の亢進に完全長NK1Rの発現誘導が関与するとしていたが,単球に構成発現している不完全NK1Rも単球由来凝固活性の亢進に有意に関与していることが確かめられた.今後,完全長NK1Rが単球由来凝固活性をさらに更新するか否かについて検討を進めつつ,観察されたNK1Rを介する分子機構ががん関連血栓症に影響を与えていることを臨床研究により確かめていく予定である.
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Causes of Carryover |
本研究課題では研究分担者が所属する研究組織で遂行中の別の研究事業と同じ研究手法を使用して行われる実験業務が多い.そのため,研究用消耗品の一部は複数の研究事業で共用されており,今年度の経費は大幅に削減が可能となった.一方,次年度は別の実験手法を取り入れて研究が遂行されるが,そこで新たな実験用消耗品を本研究課題の経費から割り当てることが計画されている.
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