2021 Fiscal Year Research-status Report
疼痛・掻痒感の受容修飾におけるPDGFRの新規機能解析と術後痛管理への応用
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21K08937
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
大久保 正道 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70581495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血小板由来増殖因子 / 感覚神経 / 後根神経節 / 疼痛 / 術後痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の目的は、感覚神経での血小板由来活性化因子/血小板由来活性化因子受容体(PDGF/PDGFR)シグナルと術後痛、急性痛との関連性を明らかにし、臨床、特に周術期医療へ還元し的確な術後痛マネジメント法の発展に貢献することである。 (PDGF)は、怪我などの組織損傷時に盛んに分泌されて創傷治癒に重要な役割を果たす血小板貯蔵の液性因子である。PDGFは現在4種類(A、B、C、D)知られており、受容体はPDGFRαとPDGFRβの2種類のサブタイプがある。PDGF、PDGFRは遊走性の細胞を中心に末梢組織に発現するが、PDGFRは神経系にも発現し、中枢神経系ではグリア細胞、末梢神経系ではシュワン細胞と一部の感覚神経に存在すると報告されている。しかしながら、長らく感覚神経に発現するPDGFRと感覚の関連性は不明であった。 まず感覚神経におけるPDGFの受容体、PDGFRα、PDGFRβについて検討した。正常ラットの後根神経節を採取し、PDGFRα、PDGFRβのRT-PCRやin situ hybiridizationを実施した。、RT-PCRの結果、PDGFRα、PDGFRβは、共に後根神経節に発現した。in situ hybidizationを実施したところ、PDGFRα、PDGFRβは一部のニューロンに発現した。PDGFRα、PDGFRβ発現ニューロンの細胞体のサイズを解析したところ、PDGFRαは大型から小型のニューロンまで偏った発現はなく、全ニューロンの約15%に発現した。一方、PDGFRβは全ニューロンの18%、大型:約9%、中型:約20%、小型:27%に発現していることを認め、小型中心に発現することが明らかとなった。さらに、ニューロンの亜集団マーカーとの二重標識による解析をおこなったところ、PDGFRβはTRPV1とP2X3と強く共存することが明らかとなり、PDGF受容体は痛みの受容に関与することが強く示唆される結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定していた研究内容は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、明らかとなった感覚神経におけるPDGFRα、PDGFRβの亜集団解析により得た結果を元に、行動薬理を行い疼痛、特に術後痛に関与するかを検討する予定である。また、遺伝子改変動物等、最新の研究手段を取り入れながら、組織学で得た結果をサポートするデータの獲得に挑戦する予定である。
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Causes of Carryover |
行動薬理に使用する受容体シグナル遮断薬やFcタンパク等購入・納品に遅延が起こり、該当年度に購入できなかったため、次年度請求分とした。
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