2023 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛・掻痒感の受容修飾におけるPDGFRの新規機能解析と術後痛管理への応用
Project/Area Number |
21K08937
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
大久保 正道 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70581495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血小板由来増殖因子 / 感覚神経 / 後根神経節 / 疼痛 / P2X3 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の目的は、感覚神経での血小板由来活性化因子/血小板由来活性化因子受容体(PDGF/PDGFR)シグナルと術後痛、急性痛との関連性を明らかにし、周術期 療へ還元し的確な術後痛マネジメント法の発展に貢献することである。 感覚神経におけるPDGFの受容体、PDGFRα、PDGFRβについて検討した。正常ラットの後根神経節(DRG)を採取し、PDGFRα、PDGFRβのin situ hybiridizationを行い解析したところPDGFRβはTRPV1とP2X3と強く共存することが明らかとなり、発現分布に特異性を見出した。 このことから、足底へPDGFのリガンド投与を行い、体性刺激に対する行動を観察した。その結果、機械的刺激、熱刺激に対する逃避行動に変化はなかった。またTRPV1のアゴニストであるカプサイシンを事前に足底へ投与したのち、PDGFの投与を行っても疼痛様行動に影響を与えなかった。一方、足底へPDGF-BBを事前投与し、P2X3のアゴニストであるαβ-MeATPを投与したところ、αβ-MeATPによる疼痛様行動を有意に増加させることを見出した。この動物の脊髄サンプルを採取し、後角I-II層のc-fos陽性細胞数を解析したところ、有意な増加をみた。今年度は、この結果を検証する実験を実施した。単離培養したナイーブラットのDRGニューロンを用いて、PDGF-BBの投与がαβ-MeATPに誘発されるカルシウム応答に影響するかどうかを検討した。その結果、PDGFリガンドの投与は、αβ-MeATPによるカルシウム応答を有意に増加した。 このことから、PDGFRβは感覚神経の痛みを伝える線維に発現し、共存するP2X3チャネルの興奮性を上昇させ、痛みを増強させる可能性が示唆された。
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