2023 Fiscal Year Annual Research Report
Clinical indicator exploring the quality of perioperative medicine from the perspective of the care process
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21K08946
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長瀬 清 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (90345786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体温管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたり、新たなデータ取得が難しいため、過去データの解析を改めて精緻に行った。この解析では術中体温推移の影響を及ぼす因子について、性差、年齢、身長、体重、手術時間、麻酔時間、晶質液、膠質液、術中の最低Hbについて検討を行った。これらはいずれも体重区分として≦40、40-60、60-80、>80kgと4つに区分した場合、いずれの因子についても有意差を認めた。しかしその中でも男女差、年齢、術中最低Hbが臨床的に大きな因子となっていた。今回の結果は、2点の重要な要点を指摘している。1つ目として、体重の違いが術中体温低下のリスクに大きな影響を与える点について、年齢や性別という交絡因子の存在を示しているが、しかしその交絡因子を考慮したとしても術中体温低下のリスクとして体重≦40kgは大きなリスクになり得る事実を示している。2つ目として、従前と同様の体温管理方法だけでは、不十分な体温管理になる可能性も示している。体重が小さいという点は筋肉量が少ない、あるいは脂肪が薄いため、体温低下になりやすいだけでなく、熱産生量が少ないことを示唆している。その中で通常の加温方法を用いたにもかかわらず体温低下を来していることは、生理学的な体温調節応答への影響だけなく、術中の体温管理においても、更なる工夫が必要であることを示している。この2点は低体温を来す可能性が高い患者の特定や、その予防として現在の方法では不十分である事実を指摘するため、今後の体温研究において、これらの対策が重点的に行われることで、医療の質向上や感染対策、シバリング防止などに寄与すると考えられた。
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