2021 Fiscal Year Research-status Report
肺移植術後の気道過敏性亢進に関与する非翻訳RNAとその標的分子種の同定
Project/Area Number |
21K08954
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
花崎 元彦 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60379790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00287848)
倉橋 清泰 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (50234539)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 虚血再潅流傷害 / 肺移植 / 麻酔薬 / マイクロRNA / RhoA/Rho-kinase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では令和5年度までに、肺虚血再潅流傷害後に認められる気管支平滑筋過敏性 (bronchial smooth muscle hyperresponsiveness: BHR) 形成のメカニズムについてmicroRNA (miRNA) あるいはlong non-coding RNA (lncRNA) レベルまで検討を行い、過剰収縮の根幹となるRhoA/ROCK系亢進との関連性を明らかにすることを目標としている。本年度は、研究代表者らが開発した細胞レベルで虚血状態を模倣する低酸素下培養システムを利用し、non-coding RNAsを含む各種遺伝子発現変動について、酸素濃度依存性を考慮した網羅的解析を試みた。 培養ヒト気管支平滑筋細胞 (human bronchial smooth muscle cells: hBSMCs) を通常酸素濃度下 (21% O2) および低酸素条件下 (5% O2および1% O2) にて培養した。21% O2群ではHIF-1αタンパク質発現は認められず、5% O2、1% O2と酸素濃度低下に依存したHIF-1αタンパク質発現増加が認められた。次世代シークエンサーを用いたRNA-Seq解析を行い、そのenriched terms解析を行ったところ21%群 vs. 5%群、21%群 vs. 1%群および5%群 vs. 1%群のいずれにおいても “GO: response to hypoxia” が最上位にヒットし、酸素濃度低下レベルに依存した低酸素応答が確認できた。各群間で検出された有意なGO termsについてVenn diagram解析を行ったところ21種のGO termsの関連性が示され、ある種のnon-coding RNAを含む6種類の転写産物の強い関連性が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、平滑筋細胞における変化を直接的に証明するために培養細胞を用いた検討を中心に行い、計画時の予定を若干変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記により同定したnon-coding RNAsを含む転写産物の気管支平滑筋細胞における機能解析を行い、虚血再潅流誘発BHR形成のメカニズムを解明する予定である。さらに、気道上皮細胞における遺伝子発現に及ぼす低酸素の影響についても検討を行い、上皮細胞-平滑筋細胞相互作用に及ぼす虚血再灌流の影響について考察を加える予定である。 肺虚血再潅流モデルラットを用いた研究も再開させる。採取した肺サンプルを凍結保存またはRNA later中で保存する。一定数のサンプルを確保した後にWestern blot法、リアルタイムPCR法などを行う。同時に再潅流時間を30分から3時間と変化させていく中で、もっともサンプルの状態がよく、かつラットの全身状態(とくに循環動態、酸素化能)が保たれる時間を決定する。その後マイクロアレイ解析などにより肺虚血再潅流傷害による気道過敏性亢進に関与する遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
(理由) 概ね順調に進んだが、研究代表者である花崎が新型コロナウィルス感染症の患者が急増した時期は臨床医として重症患者対応に従事していた。また大学施設への立ち入りも断続的に制限される状況もあった。これらの理由により、解析結果の検討など、全体に時間を要した。その結果、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 確立した低酸素hBSMCモデルから得られたサンプルについて、ウェスタンブロットやリアルタイムPCRなど生化学的解析を行うための消耗品(試薬、抗体)に用いる。さらには、上述の上皮細胞を用いたRNA-Seq解析に充てる。
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Research Products
(1 results)