2022 Fiscal Year Research-status Report
新しい内因性ペプチド、シアロルフィンの疼痛制御における役割
Project/Area Number |
21K08955
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
姜 卓義 東海大学, 医学部, 助教 (60580256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 唾液腺 / シアロルフィン / NMDA受容体 / 疼痛 / Dセリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット唾液腺よりモルヒネの約6倍の鎮痛効果を有するシアロルフィンが発見された。シアロルフィンはオピオイドペプチドの分解酵素を阻害する作用により鎮痛効果を示すと考えられてきた。しかし、申請者らはシアロルフィンがオピオイドペプチド分解酵素阻害活性以外に、ミューオピオイド受容体オルソステリックリガンドのEfficacyを増強するポジティブアロステリックモジュレーターである可能性を示す結果を得た。また、申請者らは痛覚過敏などの発症にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体活性化が深く関与し、同受容体の活性化にグリイン結合部位の内因性コアゴニストのDセリンが関与することを明らかにした。そこで、唾液腺による疼痛調節機構に注目しD-セリンとシアロルフィン分泌との関連性について注目し、解析した。その結果、7週齢Wistar系雄性ラット耳下腺、顎下腺、舌下腺にD-セリンが存在し、同アミノ酸代謝関連酵素(セリンラセマーゼ、Dアミノ酸酸化酵素)が存在することを明らかにした。D-セリンをL-グルタミン酸とともにラット顎下腺に灌流すると副交感神経刺激下の唾液分泌量がD-セリン用量依存的に増加し、この作用はNMDA受容体グリシン結合部位のアンタゴニストにより優位に減弱した。これらの結果より、唾液腺内で生成される内因性D-セリンが唾液腺に直接作用し、唾液腺由来シアロルフィン分泌に関与することが考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
唾液腺内で生成される内因性D-セリンが唾液腺に直接作用し、唾液腺由来シアロルフィン分泌に関与する実験結果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は1) モルヒネを高用量を投与したラット脊髄後角におけるDynならびにシアロルフィン遊離量をin vivoニューロペプチドサンプリングシステムによりを定量する、2)モルヒネ誘発性疼痛モデルの脊髄後角における、グルタミン酸量、Dセリン量を定量的に解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍による研究資材供給不足により実施できなかった実験を次年度実施する予定である。
|