2022 Fiscal Year Research-status Report
モデルラットを用いたHIV関連神経障害の機序解明と漢方治療、遺伝子治療への応用
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21K08962
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 泉 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (70624196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 浩嗣 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (00550641)
神田 恵 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50516820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HIV関連神経障害 / 漢方治療 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HIV感染患者にアンケート調査を行い、HIV関連神経障害の特徴や本邦におけるHIV感染の現状について調査する。また、HIV関連神経障害性疼痛モデルラットに漢方薬を投与し、動物行動学および分子生物学的に効果を確認し、さらに遺伝子治療を併用することで相乗効果をもたらすという仮説について明らかにすることを目的とする。最終的にはこれらの調査結果をHIV関連神経障害性疼痛に対する治療に臨床応用する。 HIV感染患者へのアンケート調査については目標症例数を達成したため2021年度でアンケートの募集を終了し、集計を行い、論文作成中である。HIV関連神経障害モデルラットを用いた調査については、これまでにモデルラットに漢方薬である牛車腎気丸を投与し、動物行動学的試験において疼痛閾値が改善することを確認した。また、γ-アミノ酪酸(GABA)合成の重要な酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ67(GAD67)の脊髄後角における発現をWestern blottingを用いて調べたところ牛車腎気丸の投与によりGAD67発現の回復が認められ、牛車腎気丸がHIV関連神経障害性疼痛を軽減するメカニズムには脊髄後角におけるGAD67発現の回復が関与する可能性があるという結果が得られた。これにより牛車腎気丸の疼痛への効果がGABA作動性抑制系の回復と関連している可能性が考えられた。令和4年度においてはWestern blot法および免疫染色法を用いてその詳細なメカニズムを検討することを目標とし、予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで得られた結果をもとに、HIV関連神経障害モデルラットを用いて、牛車腎気丸の疼痛への効果がGABA作動性抑制系の回復と関連している可能性について予備実験を行っているところであるが、新型コロナウイルス感染症の影響による実験の制限と臨床業務の多忙化、煩雑化などにより実験が予定通りに進められなかった。発表用のデータは一度に多くのラットを用いて数か月単位で疼痛閾値の変化を調べながら最終的に検体を採取する必要があるが、新型コロナウイルス感染症の影響で実験が制限される期間が続いたため予定が立たず、発表用のデータの取得に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本邦におけるHIV感染症の現状やHIV関連神経障害性疼痛の実態についてのアンケート調査についてはこのまま論文作成を進め、報告する予定である。また、結果に基づき、HIV関連神経障害性疼痛への有効な漢方薬の投与方法などについて検討を行う。 HIV関連神経障害モデルラットを用いた、牛車腎気丸の疼痛への効果についての詳細なメカニズムの検討については、予備実験での結果を参考に、Western blot法、免疫染色法を用いて調査を進める。その後、漢方治療に遺伝子治療を組み合わせることによるHIV関連神経障害への相乗効果の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では新型コロナウイルス感染症の影響等で予定通り実験が進まなかったこともあり、その分は次年度使用額とした。次年度使用額は抗体、ピペットなどの消耗品の購入、ラットの購入、ラットの飼育などに使用する予定である。
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