2021 Fiscal Year Research-status Report
下行性抑制系を介した神経障害性痛および術後痛における薬物作用機序
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21K08964
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三枝 里江 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10400772)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 術後痛 / プレガバリン |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器疼痛などと機序の異なる神経障害性疼痛は難治性であり、日常生活を困難にして生活の質を大きく下げる。プレガバリンは神経障害性疼痛の第一選択薬であり、末梢および中枢に広く分布する電位依存型Ca2+チャンネル(VGCC)のα2δサブユニットに特異的に結合し、VGCCの細胞表面での発現量およびカルシウムの流入を抑制することで鎮痛作用を発揮すると考えられてきた。プレガバリンと同様にVGCCのα2δサブユニットに特異的に結合するガバペンチンでは、青斑核の細胞体に作用する抑制性(γ-アミノ酪酸:GABA)ニューロンの作用を弱め、青斑核を活性化し脊髄後角へのノルアドレナリン(NA)放出を増加させることが、鎮痛作用の1つのメカニズムであることが分かってきている。プレガバリンもガバペンチンと同じ作用対象の構造を持ち、神経障害性疼痛に対し投与量依存性に鎮痛効果を発揮するため、その機序にはNA作動性下行性抑制系が関与している可能性が高いと考える。本研究ではプレガバリンの鎮痛作用がNA作動性下行性抑制系の活性化とどのように関与しているか、神経障害性疼痛および術後痛の動物実験モデルを用いて解明し、慢性痛の治療と防止に役立てることを目標としている。 本年は、ラット神経障害性疼痛モデルおよび術後痛モデルにおいて、プレガバリン投与時の侵害刺激への疼痛閾値の変化について実験を行う予定であったが、実験を遂行するための時間を十分にとることができずに、現在ようやく実験の準備が整い、開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延と遷延に伴い、臨床業務が予測を超えて増加したため、研究に割く時間を十分にとることが難しかった。実験方法やデータ取得方法に問題が生じた遅れではないため、研究の基本方針を変更する必要はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、当初の予定通り、プレガバリンの鎮痛作用がNA作動性下行性抑制系の活性化とどのように関与しているか、神経障害性疼痛および術後痛の動物実験モデルを用いて解明するべく研究を推進してゆく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況の欄にも記載した通り、新型コロナウイルス感染症の蔓延と遷延に伴い、臨床業務が予測を超えて増加したため、研究に割く時間を十分にとることが難しかった。 次年度は遅れを取り戻すべく、予定より少し速い速度で研究に取り組んでゆく予定である。
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