2021 Fiscal Year Research-status Report
effect of anesthetics on myocardial interstitial cytokine levels induced by ischemia
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21K08968
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50252391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 規 宝塚医療大学, 保健医療学部, 教授 (20340515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心臓マイクロダイアリシス法 / 虚血再灌流傷害 / サイトカイン / エンドトキシン / インターロイキン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はラット心筋に心臓マイクロダイアリシス法を適用して、心筋間質レベルにおける虚血関連タンパクを経時的に測定することで、血中濃度測定法より高感度で心筋傷害の変化を検知し、その解析を行ってきた。特に、冠動脈閉塞開放時の心筋ネクローシスのマーカーであるミオグロビンを用いた検討で、虚血プレコンディショニング効果と同様の心筋保護効果が吸入麻酔薬でも生じることを示した。今回、我々は細胞傷害の重要な因子の一つであるサイトカインとその生理活性に着目した。IL-6やIL-1β、IL-8, TNF-α等のサイトカインは心筋細胞に影響を与え、筋張力の低下や心筋細胞ネクローシスを誘導し、左室機能を低下させること、そのサイトカインが吸入麻酔薬により減少するという論文が散見されることを勘案するとin vivoでの心筋間質レベルでのサイトカイン濃度上昇を吸入麻酔薬が抑制することが証明できれば、吸入麻酔薬による心保護効果のメカニズムの一つとして有力な手がかりが得られる。今回、我々は心筋傷害に関与するサイトカイン活性に着目し、吸入麻酔薬による心筋保護効果にサイトカインが関与しているかどうかを問いたい。こうしたサイトカインによる影響が吸入麻酔薬で抑制できるならば、麻酔薬による心保護効果の一要因として大きく注目されるであろう。そのために、まずはマイクロダイアリシス法によるサイトカイン測定を確立し、虚血再灌流時のサイトカイン濃度応答を測定する。次に、LPSによる人工的なサイトカインストームを誘引し、その際の心筋傷害を捕捉できるようにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット心筋に心臓マイクロダイアリシス法を適用して、虚血再灌流時の心筋間質IL-6を測定し、その上昇を確認した。次に、IL-8、IL-10、TNF-αについても確認しているところであるが、その濃度応答は現在のところうまく捉えられていない。現在はIL-6によるサイトカイン動態を中心に、虚血再灌流時に吸入麻酔薬暴露の有無による濃度変調があるかどうかについて検証を始めたところである。また、その他(IL-8、IL-10、TNF-α)の指標についても、継続して検討するつもりである。 同時にLPSの局所および静脈内投与によるサイトカインストームによる心筋傷害を確認するために、心臓マイクロダイアリシス法を用いて、LPS投与前後の心筋間質ミオグロビン濃度応答も測定を試みている。問題は、LPS自身がミオグロビン測定系に直接干渉するようで、測定方法も含めてさらなる工夫を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロダイアリシス法によるIL-6の測定が可能となったが、その他の指標についてはうまく捉えられていない。その理由として、サイトカインの間質濃度が低いために透析液内に改修できていないのか、あるいはサイトカイン濃度は高いが回収率が低いために測定できていないのかを確認する必要がある。また、虚血再灌流傷害によるサイトカイン上昇では不十分である可能性もあり、より強い免疫応答刺激としてLPSを投与した際のサイトカイン濃度を測定することを考えている。さらに灌流液の速度を遅くし、回収時間を長くするなどの工夫を行い、回収率を上昇させることも検討中である。それでも難しい場合には、既知のサイトカイン溶液をもちいたin vitroでの確認を行った上で、in vivoで検証することも考えている。一方、投与したLPS自身がミオグロビン濃度測定系に干渉することが新たに判明し、透析液中のLPS濃度を希釈することや、サンプルからLPSを取り除くことで対応できるかどうかについても検討しているところである。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症拡大により輸入薬品の納入に時間を要したため、次年度に持ち越した。
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