2023 Fiscal Year Research-status Report
Effect of volatile anesthetics on astrocytes under hypoxic conditions
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21K08969
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Research Institution | Hyogo Prefectural Amagasaki General Medical Center |
Principal Investigator |
田中 具治 兵庫県立尼崎総合医療センター(研究部), その他, 医師 (10402893)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アストロサイト / 低酸素 / 麻酔薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
揮発性麻酔薬がアストロサイトに対してどのように作用するかということは現在ほとんど未知であると考えられるが、申請者は、過去アストロサイトの低酸素応答、とくに低酸素誘導性因子(Hypoxia-inducible factor:HIF)-2を介する反応が複数の揮発性麻酔薬によって共通して抑制されることを報告してきた。今回、アストロサイトにおける低酸素応答全体への揮発性麻酔薬の影響とそのメカニズムについて検討し、これらを通じて、揮発性麻酔薬の根本的な作用の一端を明らかにしたいと考えている。HIFは、低酸素下で活性化する転写因子で、HIF-1とHIF-2として機能する。HIF活性は酸素濃度に反比例することから、揮発性麻酔薬によるHIF-2の抑制は、麻酔薬による酸素消費量の抑制により低酸素の程度が緩和された結果として生じた可能性が考えられたが、これは酸素消費量を実際に計測することによって否定されている。そのためHIF-2抑制メカニズムとして①HIF-2α転写・タンパク合成系②HIF-2の核移行③HIF-2分解を介する可能性が考えられるが、複数の揮発性麻酔薬が共通して作用する機構は不明である。ひとつの仮説として麻酔薬が微小管上の細胞内モーター蛋白の動態を抑制するとの報告がなされており、この作用によりHIF-2の核移行が影響を受ける可能性がある。実際に申請者らはHIF-2を構成するβサブユニットの核移行を麻酔薬が抑制するデータを得ている。またアストロサイトでは低酸素環境下においてMAPK(とくにRas-ERK1/2)やPI3K-Aktといったシグナル伝達系が活性化することが報告されており、これらはHIFタンパク合成にも影響するため、揮発性麻酔薬の作用ターゲットである可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表研究者の転勤により、研究室整備に遅れが生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
在籍施設での研究設備の整備、ならびに連携施設での研究続行を考慮している。
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Causes of Carryover |
研究自体の遂行がほとんど不能であったため、研究費の使用自体が少なかった。
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