2021 Fiscal Year Research-status Report
ストレスによる疼痛増強と運動療法 - 内側視索前野のエピジェネティクスの関与 -
Project/Area Number |
21K08975
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
井辺 弘樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60326353)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ストレス / 痛覚過敏 / 下行性疼痛調節系 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットに3週間の慢性拘束ストレスを負荷しストレス性痛覚過敏モデルを作製した。慢性拘束ストレス群とコントロール群で、内側視索前野においてDNAメチル化酵素、DNA脱メチル化酵素の発現をRT-PCRで調査した。 残念ながら、現在まで有意差には至っていないが、今後、個体数を増やし、検討を続ける予定である。内側視索前野から下行性疼痛調節系への神経投射経路の確認とその変化の解明のために、コントロールラットの吻側延髄腹内側部に逆行性neurotracerフルオロゴールドを注入し、内側視索前野において、CCKとフルオロゴールドの共存を確認した。次いで、慢性拘束ストレス群とコントロール群で、吻側延髄腹内側部やその活動をコントロールする内側視索前野において、ストレス性痛覚過敏に関連する CCKB、Tac1、Neurotensin、CCKBR、MOR1、NK1R などの発現をPCRにて検討した。その結果、下行性疼痛調節系の重要な構成要素である吻側延髄腹内側部においてMOR1の発現がPCRで増加することが確認された。このストレス性痛覚過敏モデルでは吻側延髄腹内側部においてMeCP2の増加が確認されたため、慢性拘束ストレスによる吻側延髄腹内側部におけるMOR1の発現増加にMeCP2が関与しているか否かを検討するため、慢性拘束ストレス群とコントロール群の吻側延髄腹内側部において、 MORのプロモーター領域へのMeCP2の結合をクロマチン免疫沈降アッセイにて検討した。 残念ながら、現在まで有意差には至っていないが、今後、個体数を増やし、検討を続ける予定である。得られた結果の一部は学会で報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性ストレス後、機械的感覚過敏を示したラットにおいて、下行性疼痛調節系の吻側延髄腹内側部においてMOR1の有意な増加が生じることなどを明らかにした。得られたデーターの一部は学会で報告した。計画はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.コントロール、ストレス負荷ラット(マウス)において吻側延髄腹内側部や内側視索前野などでのヒストンのアセチル化とDNAのメチル化を調査する。次いで、DNA メチル化酵素、DNA 脱メチル化酵素などの発現を RT-PCR などで調査する。酵素発現量に変化がなければ、酵素活性を解析 kitを用いて調査する。 2.慢性拘束ストレス群とコントロール群で、吻側延髄腹内側部とその活動をコントロールする内側視索前野などで、転写因子の発現やストレス性痛覚過敏に関連する CCKB、Tac1、Neurotensin、CCKBR、NK1R などの発現を免疫染色やPCRにて検討する。 3.慢性拘束ストレス群とコントロール群の吻側延髄腹内側部において、 MORのプロモーター領域へのMeCP2の結合をクロマチン免疫沈降アッセイにて検討する。
|
Causes of Carryover |
当該年度に実施予定の実験の一部を行うことが出来なかったため、試薬や実験動物などの購入費用に余りが生じたため。 PCR試薬、解析kit、実験動物などの購入に使用する予定である。
|