2021 Fiscal Year Research-status Report
新規分子を標的とした痒み治療薬の開発に向けた末梢神経における痒み伝達の解明
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21K08976
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
丸山 智之 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00894883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時永 泰行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60438281)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 痒み / Tmem45b / IL-31RA / TRPV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で注目して研究を行っているTmem45bは機械性痛覚過敏に関わっていると考えられているが、まだ解明できていない機能が多い。Tmem45bは熱性痛覚過敏には関与していないという実験結果が得られている。しかし、Tmem45bは熱性痛覚過敏に関与していると報告されているTRPV1と16%共発現していることが分かっている。Tmem45bは熱性痛覚過敏に関与していないのであれば、Tmem45bとTRPV1を共発現している神経細胞は機械性痛覚、熱性痛覚以外の知覚に関わっているかもしれないと考えた。TRPV1はかゆみの知覚に関与しているということが分かっており、またTRPV1はアトピー性皮膚炎の病態に深く関与しているIL-31RAと16%共発現している。機械性痛覚過敏以外のTmem45bの未知の機能はIL-31に関与した痒みの知覚に関連している可能性が高いと考えた。 研究内容としては、免疫組織学的解析、行動解析、電気生理学的解析である。免疫組織学的解析では、野生型マウスの後根神経節を採取し、Tmem45b、TRPV1、IL-31RAの免疫染色、in situ ハイブリダイゼーションを行い、3重染色を行うことでそれぞれの分子が神経細胞でどのような分布をとるか評価する。行動解析では、野生型マウス、Tmem45bノックアウトマウスを使用し、IL-31、ヒスタミン、セロトニン、コンパウンド48/80、クロロキンをマウスの背部に局所注射し、後ろ足で背部を引っ掻く掻痒行動を観察、カウントすることでTmem45bが痒みに対する行動に影響するか評価する。また、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎モデルマウスを作成し、同様に痒み行動を観察する。電気生理学的解析ではウレタン麻酔下にマウスを固定し、脊髄に電極を刺入、痒みを誘発することで活動電位の自発発火頻度を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施した研究は、野生型マウスの後根神経節を採取し、Tmem45b、TRPV1、IL-31RAの免疫染色、in situ ハイブリダイゼーションを行い、3重染色を行った。Tmem45b陽性かつTRPV1陽性細胞はIL-31RAを60.7%と高率に発現しているということが分かった。 次に野生型マウス、Tmem45bノックアウトマウスを使用し、IL-31、ヒスタミン、セロトニン、コンパウンド48/80、クロロキンをマウスの背部に局所注射し、後ろ足で背部を引っ掻く掻痒行動を観察、カウントした。野生型、ノックアウトマウスで有意な差が認められたのはIL-31とコンパウンド48/80のみであった。 痒み病体モデルは現在作成、実験を推敲している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進としては、引き続き行動解析として痒み誘発物質を施行するほか、痒み病態モデルを作成、実験を推敲する。行動評価ののちに対象マウスの背部皮膚組織と脊髄、後根神経節を採取し、皮膚の肥厚や免疫細胞の惹起を評価、c-Fosを染色することで脊髄の活動性を評価する。 また、電気生理学的解析を行う方針である。 Tmem45bノックアウトマウスの背景としてノックアウトされていることでIL-31RAが減少しているかもしれないと考えた。Tmem45bのノックアウトではなく、IL-31RAが減少することでIL-31による痒みが抑えられている可能性を否定するために、野生型、ノックアウトマウスでIL-31RAの発現量に差がないかwestern blotを行い、定量評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
必要とした試薬や機材を予定通り購入したが、その際に出た消費税や端数から1,471円が次年度使用額として生じた。特に購入をしなかった試薬や機材は認めなかった。
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Research Products
(1 results)