2022 Fiscal Year Research-status Report
術後認知機能障害におけるアストロサイト活性化阻害薬ONO-2506の効果と役割
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21K08986
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 夏子 (工藤夏子) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40771514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 恭子 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (30311575)
山本 洋平 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70400512)
新山 幸俊 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90423764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 術後認知機能障害 / アストロサイト / アストロサイト活性化阻害薬ONO-2506 / S100β |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者において,脳アストロサイトの機能異常が術後認知機能障害(Postoperative Cognitive Dysfunction : POCD)に関与している可能性を検証する。近年様々な神経疾患においてアストロサイトの活性化が病態の発症・進展に関与している可能性が示唆されており,POCDに関しても海馬アストロサイトの機能障害が関与するという報告もある(Femenia Tら. 2018)。アストロサイトの活性化を制御することでPOCDを回避することができれば,周術期におけるPOCDの予防・治療戦略につながると考えられる。 SDラット36匹(雄, 17-22ヶ月, 600-930g) を用い、手術-/ONO-2506-群(C)、手術+/ONO-2506-群(S)、手術-/ONO-2506+群(O)、 手術+/ONO-2506+群(SO)(各n=9)に分けた。ONO-2506投与群は術中~術後2日まで30mg/kg、非投与群には生食を腹腔内投与した。手術群は2時間の全身麻酔下に左大腿骨骨接合術を施行し、非手術群は2時間チャンバーに隔離した。術後6~10日にモリス水迷路 (MWM) を行い、逃避潜時・遊泳距離・遊泳速度を測定し、10日目にprobe testを施行した。術後14日に海馬S100β陽性アストロサイト細胞数を測定した。その結果、MWMの逃避潜時・遊泳距離・遊泳速度・probe testは各群間に有意差を認めなかった。S100β陽性細胞数はC群とS群の比較では有意差を認めなかったが、SO群でC群とS群に比較して有意に減少した。(p=0.02 vs C群, p=0.01 vs S群) これまでの研究で、手術群では術後認知機能障害が誘発されず、海馬S100β陽性細胞も増加しなかったが、ONO-2506投与により活性化アストロサイトは有意に減少することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
S100β免疫染色不良の個体があり、GFAP染色を追加したため、時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
手術個体で術後認知機能障害が誘発されず、活性化アストロサイト数も増加しなかったため、行動試験を実施する時期や免疫染色の時期をずらすことを検討している。またS100βのELISA, RT-PCR用の個体を作成している最中である。
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Causes of Carryover |
高齢ラットの入手に時間がかかったこと、ラットの死亡などによりS100βのELISAやRT-PCRを行うのに十分な個体数を集められなかった。そのため、次の段階の実験として考えているEAAT2のRT-PCRに必要な試薬などの購入に充てるため。
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