2021 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスに基づくプロゲステロンとオキシトシンによる新たな鎮痛法の提唱
Project/Area Number |
21K08996
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大下 恭子 広島大学, 医系科学研究科(医), 専門研究員 (70444700)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性ホルモン / プロゲステロン / オキシトシン / エストロゲン / 鎮痛法 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛みを伴う疾患には発症頻度に性差があり、線維筋痛症、片頭痛、リウマチ性関節炎、子宮内膜症や更年期障害などは女性に多く、その痛みは女性ホルモンであるエストロゲンとの関連が多く報告されて来た。一方、最近女性ホルモンであるオキシトシンとプロゲステロンには鎮痛効果があることが報告され、研究代表者は女性の疼痛治療にはその時のホルモンバランスを考慮する必要があると考えた。そこで、研究代表者はオキシトシンとプロゲステロンの鎮痛効果を細胞レベルと各種疼痛動物モデルで明らかにすること、また、エストロゲンとの相互作用を細胞レベルと疼痛動物モデルで明らかにすることによって、女性のホルモンバランスを考慮した新しい鎮痛法を提唱することができると考えた。 交付申請書に記載した実験は、細胞レベルでの実験が1つと、動物レベルでの実験が2つであり、今年度は、細胞レベルでの実験に取り組んだ。 HEK細胞にTRPV1とTRPA1を発現させカプサイシンやAllyl isothiocyanate(AlTC)で刺激し細胞内カルシウムの増加に対するプロゲステロン、オキシトシンとエストロゲンの作用を単独および併用で測定を行った。 オキシトシンは,カプサイシン刺激によるTRPV1からの細胞内カルシウム上昇を抑制したが、AITC刺激によるTRPA1からの細胞内カルシウム上昇は抑制しなかった。プロゲステロンは、カプサイシンとAITC刺激による細胞内カルシウム上昇を抑制しなかった。 また、培養ラットDRG細胞を用いてTRPV1とTRPA1への影響を同様に測定した。慢性疼痛の維持に重要なミクログリアヘの影響は培養ミクログリア細胞をLPSで刺激したときの活性化に対するこれらホルモンの相互作用であると考え、その作用を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞レベルでの実験に取り組んだものの、動物レベルでの実験は未だ開始しておらずやや遅れている。動物実験計画書を提出し学内倫理委員会の承認を得た後、直ちに取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
動物レベルでの実験を開始する。 各種疼痛モデル動物でのプロゲステロンとオキシトシンの鎮痛効果を明らかにする。 急性痛モデルのホルマリンテスト、炎症性疼痛モデルのカラゲ三ン関節炎モデル、神経障害性疼痛(Seltzer)モデルに対するプロゲステロンとオキシトシンの鎮痛効果を行動薬理学的に検討する。疼痛評価はそれぞれフリンチング、Dynamic Weight Bearing (DWB)、von Freyテストとアロディニアスコアにて行う。 女性ホルモンが関与する疼痛モデル動物として子宮内膜症モデル、卵巣摘除閉経期モデルでのプロゲステロンとオキシトシンの鎮痛効果を明らかにする。 エストロゲンが関与する疼痛モデル動物として子宮内膜症モデル、卵巣摘除閉経期モデルでのプロゲステロンとオキシトシンの鎮痛効果を行動薬理学的に検討する。疼痛評価はそれぞれDWB、von Freyテストとアロディニアスコアにて行う。 これらを行うことで、プロゲステロンとオキシトシンの鎮痛効果を行動薬理学的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウイルスの感染拡大にて、学会参加ができなかったため、次年度使用額が生じた。また、3月納品となり、支払いが完了していないため次年度使用額が生じた。 (使用計画) 令和4年度の学会参加費用・4月に支払に使用予定である。
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