2021 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛に伴う脊髄後角ニューロン変調におけるD体セリンの作用
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21K09004
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 健二 東海大学, 医学部, 教授 (10317779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 疼痛 / Dセリン / NMDA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛は発症機序が不明なため、根本的な治療法が無く臨床上重大な問題となっている。末梢神経を損傷させた神経障害性疼痛の脊髄においてアストロサイトは細胞体および突起を肥大化させ活性化することが知られている。また、神経障害に伴うアロディニアや痛覚過敏などの発症にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体活性化が深く関与しているが、そのNMDA活性化メカニズムは不明である。申請者はこれまでに、グリシン結合部位内因性コアゴニストであるDセリンはNMDA受容体の活性化を制御すること、生理的状態では神経細胞で生成されるDセリンは、生体の病態変化によってアストロサイトにおいても生成されること、などを明らかにした。申請者らは、モルヒネの約3-6倍の鎮痛効果を有するシアロルフィンがラット唾液腺より分泌され、ペプチド分解酵素阻害活性により内因性オピオイドペプチドの分解を阻害すること、ならびにシアロルフィンがミューオピオイド受容体のアロステリックモジュレーターとして機能して鎮痛効果を示すことを明らかにした。HPLCアミノ酸一斉分析により7週齢Wistar系雄性ラット耳下腺、顎下腺、舌下腺にD-セリンをはじめとする複数のD-アミノ酸が存在することを明らかにした。D-セリンをL-グルタミン酸とともにラット顎下腺に灌流すると副交感神経刺激下の唾液分泌量がD-セリン用量依存的に増加した。これらの結果より、液腺内で生成される内因性D-セリンが唾液腺に直接作用し、唾液腺由来シアロルフィン分泌など関与することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covid-19禍の影響により一部の実験用試薬、機器類の入手困難であった。唾液腺由来シアロルフィンは内因性オピオイドペプチドの分解を阻害すること、ならびにシアロルフィンがミューオピオイド受容体のアロステリックモジュレーターとして機能する。このシアロルフィンと疼痛との関連性に注目し、HPLCアミノ酸一斉分析により7週齢Wistar系雄性ラット耳下腺、顎下腺、舌下腺にD-セリンをはじめとする複数のD-アミノ酸が存在することを明らかにした。D-セリンをL-グルタミン酸とともにラット顎下腺に灌流すると副交感神経刺激下の唾液分泌量がD-セリン用量依存的に増加した。これらの研究成果の一部を国際誌BIologyに掲載されるなど、一定の成果を挙げることができたことにより、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
神経障害性疼痛モデルを作成し、神経障害に伴うアロディニアや痛覚過敏などの発症にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体関与するメカニズムについて検討する。具体的には、絞扼性神経損傷(chronic construction injury: CCI)モデルを作成し熱刺激による逃避行動、von Frey試験、重心比重試験により疼痛関連行動を観察し、マイクロダイアリシス法により、神経障害性疼痛によるD-セリン分泌量、グルタミン酸分泌量などについて解析する。また、Dセリン代謝関連酵素阻害剤などにより神 経障害性疼痛に対して抑制効果が得られるかについて検討する。具体的には、脊髄後角におけるアストロサイト、Srr, DAO, NMDA受容体発現量の変化を免疫組織 化学的、In situ hybridization(ISH)法で定性解析するとともに、脊髄後角の組織における各種タンパク質、遺伝子発現を定量解析する。
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Causes of Carryover |
Covid-19禍の影響により一部の実験用試薬、機器類の入手困難であった。絞扼性神経損傷(chronic construction injury: CCI)モデルを作成し熱刺激による逃避行動、von Frey試験、重心比重試験により疼痛関連行動を観察し、マイクロダイアリシス法により、神経障害性疼痛によるD-セリン分泌量、グルタミン酸分泌量などについて解析する。
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