2021 Fiscal Year Research-status Report
劇症型急性肺炎の劇症化メカニズムの解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K09021
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長谷川 明洋 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80376376)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 肺炎 / ARDS / 好中球 / 感染症 / 細胞イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)は、激しい好中球浸潤と肺胞の広範な傷害(diffuse alveolar damage; DAD)を呈する病理像が特徴で、有効な治療法が確立されていない。新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックにより世界で多くの感染死者が出ているが、主な死因はウイルス感染による劇症型のARDS (Fulminant ARDS; FARDS)であり、治療法の確立は急務の課題である。 本研究では構築したFARDSモデルマウスと独自に開発したバイオイメージング技術を駆使してARDSの発症・劇症化メカニズムの解析を行うとともに、新規治療法の開発を行うことを目的として、今年度に以下の結果を得た。 1.バイオイメージング技術を駆使した肺への細胞浸潤様式の解析:マウスでの劇症型急性肺炎モデルとして、α-Galactosylceramideによる感作後にLPSを経鼻投与する系を用いた。野生型マウスでは激しい肺の炎症性変化とともに、2~3日で死に至った。生体内免疫細胞バイオイメージング技術を駆使して、急性肺炎の誘導にともなうリンパ球やマクロファージ、好中球等の炎症細胞の浸潤様式に関する時空間的解析を行い、その動態を明らかにした。 2.劇症型急性肺炎の発症における治療ターゲット分子の機能解析:治療ターゲット分子として見出した候補分子について、免疫炎症細胞上での発現様式や劇症型急性肺炎の発症における役割を解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的を達成するために、研究実施計画に従って研究を遂行した。その結果、劇症型急性肺炎の発症における炎症細胞の浸潤様式を時空間的に解析できた。 今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実施できなかった一部の研究を除き、当初予定していた研究をおおむね遂行することができたことから、順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ本研究課題は当初の研究計画通りに進んでおり、次年度も研究実施計画に従って研究を推進していく予定である。具体的には急性肺炎の劇症化に関与する因子の解析を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) バイオイメージング技術を駆使した肺への細胞浸潤様式の解析に用いる遺伝子操作マウスの納入が供給元の都合により遅延したため、マウス購入費、飼育費および関連実験試薬購入費が当該年度中に未使用となったため。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの学術集会がオンライン開催となり、出張旅費が当該年度中に未使用となったため。尚、現時点で研究進捗におけるマウス供給遅延の影響は限定的で、全体としての実験計画はおおむね順調に進展している。 (使用計画) 当初の計画通りバイオイメージング技術を駆使した肺への細胞浸潤様式の解析研究に用いる遺伝子操作マウスの購入費、飼育費および関連実験試薬購入費に使用する予定である。また、未使用となった出張旅費は消耗品費や動物飼育費にあてる予定である。
|