2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K09022
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
朱 鵬翔 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (40380216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 研究員 (60170601)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反復性軽度外傷性脳損傷(rmTBI) / インフラマソーム / 白質損傷 / オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC) |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度(令和三年度)では反復性軽度外傷性脳損傷(rmTBI)モデルマウスを用いて、損傷後脳内の組織変化と高次脳機能障害の関連性を確かめた結果、rmTBIによる高次脳機能障害が、インフラマソームを介する自然炎症を抑制するによって改善された。昨年度(令和4年度)では、研究実施計画通りに、初代培養細胞を用いて、グリア細胞特にアストロサイトの活性化がオリゴデンドロサイトの変性と再生への影響を調べた。。インフラマソームを活性化させるために、初代培養Wild type (Wt)アストロサイトにNigericinを投与した。インフラマソーム活性化されたアストロサイトからWt conditioned mediumを採取して、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)との共培養に用いた。その結果、正常mediumと比べて、インフラマソーム活性化されたWt conditioned medium用いた OPCの増殖と分化が有意に抑制された。初代培養ASCノックアウト(KO)アストロサイトにNigericinを投与して、インフラマソーム活性化されでないKO conditioned mediumを採取し、OPCの共培養に用いた結果、正常mediumと比べて、KO conditioned medium用いたOPCの増殖と分化には有意差がなかった。以上の結果から、インフラマソームを介する自然炎症に活性化されたグリア細胞が損傷した白質の回復を抑制し、神経機能の悪化に繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度(令和三年度)のモデルマウスを用いた実験で、自然炎症を抑制することによって、rmTBIによる高次脳機能障害が改善された結果を得た。昨年度in vitroで、アストロサイトの活性化がOPCの増殖と分化への影響を調べた結果、インフラマソーム活性化したアストロサイトのconditioned mediumがOPCの増殖と分化を抑制することが確認できた。研究計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度と昨年度の結果を踏まえて、今年度はrmTBIモデルマウスの長期飼育実験を続け、インフラマソームの活性化が慢性外傷性脳症(C T E)への影響を調べることを目標とする。反復性軽度外傷性脳損傷からCTE発症するまでの経過は未だに不明であり、完全に再現できる動物モデルもない。我々がrmTBIモデルマウスの高次脳機能障害の進展を確認しながら長期飼育し、免疫染色などでTauタンパク質の脳内発現の有無を検出することによりCTEの発症を確認する。脳の遺伝子発現や、神経細胞とグリア細胞の状態を確認することにより、CTE発症マウスとCTE非発症マウスの相異を分子レベルで総合的に検証する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由:令和3年度ではコロナ渦の中、研究分担者の大学研究室への出入りが制限されたため、令和4年度実施予定だった冷凍胚を起こしてからの長期飼育実験は、研究分担者の研究時間が確保出来ず開始時期が遅れた。それに伴い施設使用料と関連費用は今年度(令和5年度)の支出になる。
使用計画:今年度では、すべての実験を大学の常勤スタッフにより行い、昨年度で始めた長期飼育実験とMRIによる脳損傷の確認を今年で完了する予定である。
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