2021 Fiscal Year Research-status Report
肺胞上皮細胞の自然免疫応答を標的とした院内肺炎予防法開発に向けた基盤研究
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21K09027
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柏木 静 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20596150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 健太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80737552)
高木 俊介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90644823)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺炎 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,一度,肺炎等によって肺で炎症が生じた後の肺胞上皮細胞の自然免疫応答の変化について,その背景にある分子機構を明らかにし,免疫応答を正常化させることで院内二次肺炎の新規予防法の開発につなげることである。2021年度にはマウスにリポポリサッカライド(LPS)を気管内投与することによって肺に炎症を起こしてから,炎症が治まってくる1週間後に再度LPSやバクテリア等の病原体の気管内投与を行った際の自然免疫応答について解析を開始した。また,傷害をうけた肺の局所の自然免疫応答について,肺胞上皮細胞を含む種々の細胞の種類毎に解析を行うためにシングルセル懸濁液の作成及び細胞単離法について検討を行った。 LPSを気管内投与後,1週間が経過したタイミングにおいて,再度LPSの気管内投与を行ったところ,肺への好中球遊走の低下が認められ,さらに気管支肺胞洗浄液中のケモカインの量が低下していた。以上から,肺傷害を受けた後にしばらくの間,肺局所の自然免疫応答が低下しており,二次性肺炎が重症化しやすい状態となっていることが示唆された。一方で,マウスの肺組織からのシングルセル懸濁液および細胞単離においては,まず健常なマウスを用いてコラゲナーゼを用いた細胞の分離,懸濁を行ったが,フローサイトメトリーでの解析の結果,上皮細胞系のマーカーである上皮細胞接着因子(EPCAM)陽性となる細胞分画が少なく,全ての細胞を充分に含む細胞懸濁液の作成ができていないことから,別の方法での作成が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染症の流行により臨床エフォートを増やす必要があり,研究に費やす時間が当初の予定よりも短くなってしまったため,研究の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺傷害後のマウスに対する2回目の刺激として,病原体を用いた検討を行っていく。また,肺からのシングルセル懸濁液の作成や細胞単離については,コラゲナーゼ以外の酵素を使用した方法について検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
臨床エフォートの増加により思ったよりも研究の進行が遅れている。また,当初想定していた肺からの細胞単離の条件に時間を要しており,詳細な解析を行うことができなかったため,次年度使用額が生じた。今年度,新たな方法での細胞単離の方法構築および,免疫学的反応の網羅的解析の費用として使用する。
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