2023 Fiscal Year Research-status Report
肺胞上皮細胞の自然免疫応答を標的とした院内肺炎予防法開発に向けた基盤研究
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21K09027
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柏木 静 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20596150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 健太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80737552)
高木 俊介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90644823)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 人工呼吸関連肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,肺炎等によって肺で炎症が生じた後の肺胞上皮細胞の自然免疫応答の変化について,その背景にある分子機構を明らかにし,免疫応答を正常化 させることで院内二次肺炎の新規予防法の開発につなげることである。本年度は、人工呼吸が、LPS誘導性の肺の免疫応答や組織傷害にどのような影響を与えるのかを動物モデルを用いて検討した。 マウスを用いて、一回換気量40mL/kgでの侵襲的な人工呼吸管理を行ったうえで、LPSを気管内投与し、24時間の白血球遊走を評価するとともに、肺胞バリアの透過性を気管支肺胞洗浄液中のタンパク濃度を測定することで評価した。侵襲的な人工呼吸だけでは、肺への白血球遊走は大きく変化せず、また、気管支肺胞洗浄液中のタンパク濃度もわずかに増加するのみであった。一方で、LPSを投与することで遊走白血球数は大きく増加したが、事前の侵襲的人工呼吸の有無によって大きな違いは見られなかった。しかしながら、LPS投与24時間後の気管支肺胞洗浄液中のタンパク濃度は事前に人工呼吸を行っていた動物では、大きく増加していた。まとめると、LPS投与前に侵襲的人工呼吸が行われることによって、遊走白血球はそれほどへんかしなかったものの、肺胞バリアの傷害が増悪することが明らかとなった。 以上から、人工呼吸によって、同じような免疫応答が生じるように見えながら、肺組織傷害が大きく変化することが示唆され、このメカニズムについて肺胞上皮細胞の変化を中心に、解析を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定とは異なり、人工呼吸による肺傷害後の免疫応答、炎症について評価するという計画に変更を行ったため、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、進捗に遅れはあるものの、モデルの構築が出来たことから、今後さらなる詳細な解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画とは異なり、人工呼吸による肺傷害後の免疫応答、炎症反応を解析することとなり、モデル構築を行っていた段階であり、詳細な遺伝子発現解析等を行うことを該当年度中にできなかったため、次年度使用額が生じた。次年度には詳細な遺伝子発現解析を行う予定とし、そこにおいて使用する予定である。
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