2021 Fiscal Year Research-status Report
敗血症における血管内皮細胞で産生されるsFlt-1の役割の解明
Project/Area Number |
21K09031
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
池田 崇之 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00374942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 秀人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80240373)
吉冨 泰央 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80399039)
高辻 英仁 (齋藤) 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40768959)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | sFlt-1 / 血管内皮 / LPS / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症患者では、血管内皮増殖因子VEGFの可溶型受容体であるsFlt-1の血中濃度が重症化に伴い上昇しているが、敗血症の進展と重症化におけるsFlt-1の役割は明らかになっていない。sFlt-1の主要産生臓器である血管内皮細胞特異的にsFlt-1をノックダウンするマウスを作成し、敗血症モデルによりsFlt-1の役割を解明する。sFlt-1を血管内皮細胞特異的、かつ時期特異的にノックダウンするために、doxycycline誘導型のTet-onベクターを作成した。このベクターは、tetracycline response elementにより発現制御されるGFP遺伝子の3'UTRにmiRNA配列が存在し、doxycyclin依存的にGFPとmiRNAが発現誘導される。培養細胞を用いて、doxycyclin濃度依存的にGFPが発現すること、GFP遺伝子の3'UTRのmiRNAが機能することを確認した。次に、敗血症患者の血管内皮細胞動態をin vitroで明らかにするため、初代培養ヒト微小血管内皮細胞を用いてLPSによる血管内皮細胞への影響を検討した。血管内皮細胞にLPSを加え0~72時間培養した後、RNAを単離しsFlt-1の発現を調べたところ、sFlt-1産生の増加が確認された。このとき、血管内皮細胞の形態に顕著な差は観察されなかった。また、細胞増殖能をWST-8を用いて測定したところ、LPS処理後72時間の時点で増殖が抑制されていることが明らかとなった。したがって、LPSによりsFlt-1産生が増加し細胞増殖が抑制されていることが示唆された。さらに、sFlt-1の産生を制御するタンパク質を同定するための核抽出液調製法の検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
sFlt-1ノックダウンマウスは、Cre-loxPシステムによるshRNAの発現により作成する予定であったが、Tet-onシステムにより時期特異的に発現を制御できるマウスの方がsFlt-1の影響をより正確に明らかにできると考え、Tet-onによるshRNA発現マウスの作成に切り替えたことでやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
sFlt-1ノックダウンマウス作成のための発現ベクターが完成したことから、マウス作成を進めていく。ノックダウンマウスの作成が所属機関で可能になったことから、当初予定していた受託に比して低予算であり、かつ連携して効率よく作成できる。ノックダウンマウス作成と同時に、敗血症モデルマウスの作成と解析方法を構築する。また、sFlt-1産生制御機構を解明するために、in vitroの解析も進めていく。
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Research Products
(6 results)