2022 Fiscal Year Research-status Report
外傷急性期の凝固活性因子の由来と凝固活性化能の違い、その放出のタイミング
Project/Area Number |
21K09036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 峰司 北海道大学, 大学病院, 准教授 (10374282)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
鈍的外傷では、その外力により実質臓器や筋肉、骨が損傷される。臨床現場では、搬入時の採血結果で、その組織/細胞損傷を反映して、ASTやALT、LDH、CKなどの逸脱酵素の上昇を認める。つまり、損傷された実質臓器の細胞内に存在する物質が外傷の受傷直後に血液中に放出されている。また、血小板由来のMPsのように血小板や白血球などの血球系細胞からの凝固活性化因子の放出に関しては、外傷による物理的破壊によって放出されているとは考え難い。あくまでも各細胞が“活性化”されて放出されていると推測される。細胞が活性化されるには、それなりの時間経過が必要なはずである。逆に、損傷された実質臓器の細胞由来の物であれば、細胞の活性化ではなく物理的破壊なので、受傷直後から周囲に播種されると推測される。ゆえに、受傷直後に血液中に認める凝固活性化因子の大半は損傷された実質臓器の細胞由来の物ではないかと、推測するに至った。 重症外傷の急性期の凝固障害は、外傷による死因の中心である出血に大きな影響を与える重要な病態であり、近年、その病態に関する様々な知見が提示されている。重症外傷の急性期には、様々な凝固活性化因子が循環血液中に放出され、凝固障害の原因の一つであることが報告されているが、その凝固活性化因子の由来は明らかではない。本研究では、外傷急性期の凝固活性化因子の由来と放出のタイミングに着目し、下記の点を明らかにする。 ①外傷の受傷直後に凝固活性化因子を放出する組織/細胞は何か?② 由来する細胞の種類によって凝固活性化因子の凝固活性化能は異なるのか?③ 由来する細胞の種類によって放出されるタイミングは異なるのか? 現在、凝固活性化能を有するマイクロパーティクルの由来細胞を同定するために、フローサイトメトリーを用いての評価系の確立を試みている。しかし、適切な抗体/測定条件が設定できず、評価系が確立できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
凝固活性化因子の由来を判別する方法が定まらず、検討項目の評価が困難となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
①外傷の受傷直後に凝固活性化因子を放出する組織/細胞は何か?② 由来する細胞の種類によって凝固活性化因子の凝固活性化能は異なるのか?③ 由来する細胞の種類によって放出されるタイミングは異なるのか? 上記の3つを検討項目として事前設定していたが、①の検討は中断し、②の検討に注力する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、十分な研究時間の確保が困難であり、助成金を次年度に繰り越すことになった。 使用計画に大きな変更はなく、遅れている研究計画を進めることで、経費も使用することになると推測する。
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