2022 Fiscal Year Research-status Report
ラット熱中症モデルにおけるNアセチルシステインと水素吸入による新規治療法の開発
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21K09048
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中原 貴志 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10560956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 基 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50380001)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱中症 / 臓器障害 / Nアセチルシステイン / 水素吸入療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱中症によって年間約500人の死亡例が報告されており、そのうち14%は65歳未満である。重症熱中症による死亡は若年~壮年層にも認められており、社会的・経済的損失は大きいと考えられる。現在の熱中症の治療は、上昇した体温を下げることと臓器障害に対する対症療法のみであり、新たな治療法の確立が期待される。
ラット熱中症モデルでは、過剰なフリーラジカル産生による酸化ストレス傷害が臓器障害の原因であることを示されており、酸化ストレス傷害への新たな治療法の確立によって、重症熱中症の予後改善につながると考えられる。Nアセチルシステインはグルタチオンの前駆体でもあり、抗酸化ストレス作用があることが知られており、動物実験レベルでは、Nアセチルシステインが酸化ストレスを抑制し、肝障害を抑制することが報告されている。また、ラット熱中症モデルにおいて、熱中症発症後の水素ガス吸入療法により肝障害が改善することが確認されている。ラット熱中症モデルにおいて、Nアセチルシステイン投与および水素ガス吸入療法を行い、酸化ストレスによる臓器障害が改善することが確認されれば、臨床に応用できる可能性が高くなると考えられる。
2022年度は、ラットの熱中症モデルとして、Control群とNアセチルシステイン投与群の作成を行った。熱中症発症24時間後、肺および肝臓を取り出して組織観察用切片を作成し、肺傷害および肝障害の評価を、フォルマリン固定組織のHE染色にて行った。Nアセチルシステイン投与群はコントロール群と比較して、有意に肝障害の軽減を認めており、Nアセチルシステインによる臓器保護効果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱中症モデルに対するNアセチルシステイン投与および水素ガス吸入療法の臓器保護効果を検討する研究として、Nアセチルシステイン投与による臓器保護効果は確認できており、今後は水素ガス吸入療法の併用の効果について検討を行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、熱中症モデルに対するNアセチルシステイン投与と水素ガス吸入療法の併用の効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の使用計画において旅費による支出がなかったため、翌年度での旅費による支出を予定している。
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