2023 Fiscal Year Annual Research Report
ラット熱中症モデルにおけるNアセチルシステインと水素吸入による新規治療法の開発
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21K09048
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中原 貴志 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10560956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 基 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50380001)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱中症 / 臓器障害 / N-アセチルシステイン / 水素吸入療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット熱中症モデルにおいて、Nアセチルシステイン(NAC)およびNAC+水素ガス(H2)吸入の効果の検討を行った。 SDラットを1℃/10分の速度で直腸温が40℃に到達するまで加温し、熱中症を発症させた。熱中症発症後、リンゲル液のみを静脈内投与するコントロール群、リンゲル液静注+NAC 200mg/kg腹腔内投与(ip)するNAC群、リンゲル液静注+NAC 200mg/kg ip + 2%H2吸入を行うNAC+H2群の3群と熱中症を作成しないSham群の4群で比較を行った。 コントロール群の平均動脈圧は発症50分後、60分後で他の3群に比べ低い傾向にあった。NAC群・NAC+H2群では血圧の低下を認めなかった。発症60分後の乳酸値は、コントロール群で有意にSham群より高かった。NAC群の乳酸値はコントロール群よりも低い傾向にあり、NAC+H2群ではコントロール群よりも有意に低かった。炎症マーカーのHMGB1は、コントロール群でSham群よりも有意に高値であり、NAC群およびNAC+H2群ではコントロール群よりも有意に低値であった。Liver injury scoreはコントロール群でSham群よりも有意に高く、NAC群およびNAC+H2群ではコントロール群よりも有意に高かった。Lung injury scoreはコントロール群でSham群よりも有意に高く、NAC群はコントロール群と有意差は認めなかった。NAC+H2群のlung injury scoreではコントロール群よりも有意に低かった。 ラット熱中症モデルにおいて、NACは平均血圧の維持や炎症マーカーの抑制効果を示したが、肝・肺傷害の抑制効果は示さなかった。
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