2021 Fiscal Year Research-status Report
敗血症におけるインスリン抵抗性の生物学的意義の解析と治療応用に向けた基盤研究
Project/Area Number |
21K09053
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
太田 周平 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (20381478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 健太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80737552)
高木 俊介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90644823)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 敗血症 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,敗血症におけるインスリンシグナルの変化およびそれに対する制御が,敗血症の病態に与える影響を検討することで,その生物学的意義を明らかにし,インスリンシグナル経路およびその下流の代謝変化を標的とした新規治療法の開発につなげることである。2021年度にはマウスの盲腸結紮穿刺(CLP)敗血症モデルを用いて,グルコース代謝の変化を解析するとともに,Insulin Receptor Substrate(IRS)-1,及び-2のノックアウトマウスの安定した繁殖を目指して研究を行った。 マウスのCLP敗血症モデルにおいては,コントロールであるsham手術マウスと比較して,24時間後の段階で血糖値が低下する傾向があることを確かめることができた。腹腔内投与によるグルコース負荷試験およびグルコース+インスリン負荷試験をおこなったところ,グルコース負荷試験においてCLPマウスにおいては血糖値の低下がsham手術マウスよりも早い傾向が認められた。さらに,sham手術マウスではグルコースと同時にインスリンを投与することで,血糖値の増加が抑制できた一方,CLPマウスにおいてはグルコースのみの投与と比較して明らかな変化が見られなかったこと。これらを総合すると,CLPマウスにおいてはインスリン非依存性,依存性それぞれのグルコース代謝に異なる特徴的な変化が見られることが示唆された。 また,IRS-1,-2のノックアウトマウスについては安定した繁殖にやや時間を要したが,2021年度末には十分な繁殖を行うことができてきている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス敗血症モデルにおける糖代謝の変化が当初の想定よりも複雑であることが判明したため,評価に時間を要し当初の予定よりもやや進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
敗血症モデルマウスにおけるインスリン依存性,非依存性の糖代謝のパターンについて解析を行うとともに,どのような臓器で糖代謝が変化を起こしているのかを明らかにした上で,その影響を検討していく予定である。また同時にIRS-1,2のノックアウトが敗血症の予後に与える影響についても並行して検討をすすめる。
|
Causes of Carryover |
敗血症マウスモデルにおける糖代謝の挙動が当初の想定と比較して複雑であることが判明し,その解析に時間を要したため,そのメカニズムの検討が当初の予定よりも遅くなったため,使用額が少なかった。2022年度には敗血症における臓器毎のインスリン依存性,非依存性の糖代謝についてPET等を用いた検討を行う予定で,その費用として用いる予定である。
|