2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the function of extracellular matrix proteins in sepsis
Project/Area Number |
21K09066
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
栗田 健郎 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60802569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 孝明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20375794)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 敗血症 / SVEP1 / 遺伝子多型 / 血管透過性 / 血管内皮細胞 / リンパ管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
網羅的な遺伝子多型解析により, 細胞外マトリックスタンパク質SVEP1が敗血症重症化因子として同定された. SVEP1は細胞間接着や胎生期のリンパ管形成に重要な機能を果たすことが明らかとなってきたが, 未だ機能の全容は解明されておらず, 敗血症における動態や機能はほとんど解明されていない. 本研究では敗血症におけるSVEP1の機能を明らかにすることを目的とした. まず, 野生型C57BL/6マウスを用い, コントロールである手術なしモデル(no surgery: N.S.), 単開腹モデル(Sham), 腹腔内敗血症モデル(盲腸結紮穿孔, cecal ligation and puncture: CLP)の各群における, 肺でのSVEP1の遺伝子発現(qRT-PCR法)やタンパク質量(Western-blot法), 細胞ごとのSVEP1の動的変化(Flowcytometry)を比較した. 結果, 敗血症により, 肺でのSVEP1遺伝子発現やタンパク質量が減少することが明らかとなった. また, 肺において敗血症の早期に, SVEP1を有する血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞が減少することが明らかとなった. これらの結果からSVEP1の動態を評価する上で, 肺の血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞がターゲットになると考えられた. これらをふまえ, SVEP1に関する遺伝子型の異なるモデルを用い, 敗血症刺激による生存率など生体反応の差異や各種mediatorの動態の差異, 肺の血管内皮細胞・リンパ管内皮細胞の応答の差異を評価する研究の準備を開始した. SVEP1に関する遺伝子多型を有するSVEP1遺伝子多型マウス(Gln581His)をCrispr-Cas9法で作成し, 継代によりSVEP1遺伝子多型マウス(Gln581His)のヘテロ型・ホモ型の確保に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子多型マウス(Gln581His)の作成に時間を要した. Crispr-Cas9法で作成した第一世代の個体には, デザインした遺伝子多型以外にunplanned silent mutationがヘテロで挿入されていた. そのため, 継代により, unplanned silent mutationのない遺伝子多型マウスを確保する必要があり, 時間を要した. これらの事情から十分数の個体を確保できなかったため, まだ敗血症刺激を実際に加える実験に至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
SVEP1遺伝子多型マウス(Gln581His)の繁殖をすすめ, 実験可能な個体数を確保する. その上で, SVEP1遺伝子多型マウス(Gln581His)およびWild typeマウスに対し敗血症刺激を加える(盲腸結紮穿孔モデル:CLP, もしくは腹腔内糞便注入モデル). 敗血症刺激後の両群において, Survival study, 血管透過性評価, 血中および組織中の各種mediatorsの測定を行う実験を予定している. またSVEP1ヘテロノックアウトマウスも確保でき繁殖もすすめており, 上記同様, 敗血症刺激後の反応の差異を評価する実験を予定している. 本過程により, SVEP1が敗血症の病態において生体で果たす役割が明らかにできると考える.
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Causes of Carryover |
SVEP1遺伝子多型マウス, 比較としてWild typeマウスに対する, 敗血症刺激とその後の各種mediatorの測定などの実験を予定しており, 資機材や試薬の購入のために予算を確保していた. しかし繁殖に難渋し実験が計画通り進まなかったため, 予算を繰り越すこととなった. 今年度は, SVEP1遺伝子多型マウスの繁殖の目処が立ち, またSVEP1ヘテロノックアウトマウスも確保できた. 敗血症刺激をくわえ各種mediatorを測定する, 実際の資機材や試薬を使用した実験を予定している. これらに使用する資機材や試薬を確保するために, 繰り越した予算を使用することを計画している.
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