2021 Fiscal Year Research-status Report
くも膜下出血の病態を制御するIL-23の機能解明と新規治療法の開発
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21K09103
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
阿南 光洋 大分大学, 医学部, 助教 (50381033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆志 大分大学, 医学部, 教授 (30380520)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / IL-23 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、くも膜下出血とその後の遅発性脳虚血においても脳梗塞と同じような炎症メカニズムが関与しているのではないかとの着想のもと、研究を行なってきた(平成29年度-令和2年度 基盤研究C 課題番号17K10843 「くも膜下出血急性期の病態形成を制御する炎症性サイトカインの機能解明と治療法の開発」)。その成果として、ある期間ではIL-23欠損マウスのくも膜下出血モデルでは脳浮腫が野生型マウスよりも少ない、という結果を得た。これを踏まえ本研究では、IL-23がくも膜下出血超急性期脳浮腫の増悪に関わる分子機構はどのようなものかを明らかにし、IL-23をターゲットとしたくも膜下出血超急性期の治療法の開発につなげること、を目指している。 本年度、これまでの研究と同様に、くも膜下出血のモデルは血管内からの穿通法にて作製した。脳浮腫の評価は、静脈内投与されたエバンスブルーの組織内漏出を定量して行なった。アポトーシスに陥った神経細胞の評価にはTUNEL法を用い、野生型マウスとIL-23欠損マウス群とで差異を確認した。また、IL-23の中和抗体を用いることで脳浮腫を減少させる事が期待できることから、野生型マウスにくも膜下出血を生じさせ、IL-23中和抗体の至適用量を検討した。 今後の方向性としては、前述を更に遂行すること、更には、IL-23の分子機構を解明することを目指している。IL-23の分子機構を解明する始めとしてIL-23欠損マウスと野生型マウスにくも膜下出血モデルを作製し、経時的に脳からRNAサンプルを回収してマイクロアレイ法で遺伝子発現を比較する。また、マクロファージ、γδ細胞、制御性T細胞などの炎症性細胞の中枢神経系への浸潤や、それを制御するケモカインの発現も、着眼点としていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
くも膜下出血のモデル作成、エバンスブルーを用いた脳浮腫の定量評価は、これまで同様に問題なく行えている。アポトーシスに陥った神経細胞の評価にはTUNEL法を用いたが、野生型マウスとIL-23欠損マウス群とでの差異を評価している途中にある。TUNEL法に用いた試薬の調整や蛍光顕微鏡での評価には、ある程度の期間や人員を要したが順調に確立してきている。また、IL-23の中和抗体は野生型マウスにくも膜下出血を生じさせる前段階での投与開始としているが、至適用量を検討している途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在遂行している内容を更に前進させていく。また、IL-23の分子機構を解明することを目指し、手始めとしてIL-23欠損マウスと野生型マウスにくも膜下出血モデルを作製し、経時的に脳からRNAサンプルを回収してマイクロアレイ法で遺伝子発現を比較する。更には、マクロファージ、γδ細胞、制御性T細胞などの炎症性細胞の中枢神経系への浸潤や、それを制御するケモカインの発現も、着眼点としていく。
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Causes of Carryover |
当初、IL-23欠損マウスと野生型マウスに作成したくも膜下出血モデルに対して脳からのRNAサンプルを採取し、マイクロアレイ法を行うことで遺伝子発現の比較を行う予定であったが、本学部の実験動物飼育体制の変更期間と重なった事などもあり、研究施行段取りの一部変更を余儀なくされた。このため計画書2と1の施行順位を入れ替えたもので、結果としてマイクロアレイ法に関連した消耗物品計上が変更となった。 状況が整い次第速やかに計画を遂行することで次年度使用計画としたい。
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