2023 Fiscal Year Annual Research Report
微小環境を基盤とした中枢神経系原発悪性リンパ腫の本態解明と新規治療標的の探索
Project/Area Number |
21K09106
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
西 真由子 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (90635343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / 悪性リンパ腫 / 微小環境 / 細胞間相互作用 / ペリサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、中枢神経を原発とするリンパ腫である。再発率が高く予後不良のため、新たな治療法の開発が急務である。従来、患者由来PCNSL細胞を生体外で培養することができないため、腫瘍細胞の特性解析や阻害剤のスクリーニング等を行うことは困難であった。我々は、コラーゲン膜由来のトランスウェルであるad-MEDビトリゲルを活用し、初代PCNSL細胞と脳血管由来ペリサイトを両面培養することで、PCNSLの生存に必要最小限の微小環境を維持する生体外培養系の構築に成功した。PCNSL増殖・進展の分子メカニズム解明を目的に、ペリサイトとの両面培養によるPCNSL増殖を阻害する標的既知の低分子化合物スクリーニングを行ったところ、抗エクソソーム作用をもつスフィンゴミエリン分解酵素阻害剤がヒットした。ペリサイト由来エクソソーム中に含まれるmiRNAについて網羅的なRNAseq解析を行い、特定した13種類のmiRNAをペリサイトにおいてノックダウンまたは過剰発現させたが、PCNSL細胞の増殖に顕著な変化は認められなかった。次に、PCNSLにおいてペリサイトとの両面培養により活性化するリン酸化シグナルを特定するため、リン酸化結合タンパク質であるPin1に対する抗体を用いてin situ近接ビオチン標識し、プロテオーム解析ならびに質量分析計を用いたペプチドマッピングを行った。サイトカイン/サイトカイン受容体アレイの結果と併せてバイオインフォマティクス解析を実施したところ、HGF-c-METアクシスがPCNSL増殖に関与することを見出した。また、これらの下流で機能するPin1相互作用因子としてNFAT、NF-kB、c-Junを同定した。これらの特異的阻害剤処理をおこなったところ、ペリサイトとの両面培養下においてPCNSLの増殖が抑制された。最終年度は本結果を論文にまとめた。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Development of a contacting transwell co-culture system for the in vitro propagation of primary central nervous system lymphoma.2023
Author(s)
Mayuko Nishi, Kensuke Tateishi, Jeremiah Stanleyraj Sundararaj, Yoko Ino, Yusuke Nakai, Yasuyoshi Hatayama, Yutaro Yamaoka, Yusaku Mihana, Kei Miyakawa, Hirokazu Kimura, Yayoi Kimura, Tetsuya Yamamoto, Akihide Ryo
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Journal Title
Frontiers in Cell and Developmental Biology
Volume: 27
Pages: -
DOI
Peer Reviewed