2021 Fiscal Year Research-status Report
頚動脈石灰化粥腫安定機構の多角的エピジェネティック制御と分子間クロストークの探究
Project/Area Number |
21K09107
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片野 広之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30295612)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 頚動脈狭窄症 / 頚動脈プラーク / 石灰化プラーク / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに明らかにしてきた網羅的検索による血管新生抑制遺伝子のmRNA, タンパク発現増強、ゲノムの配列異常(SNV)、エピゲノムのDNAメチル化異常やmicroRNAによる頚動脈粥腫安定化機構研究を発展させ、本研究では、とくに複雑な影響を及ぼす可能性のあるエピゲノムによる頚動脈粥腫安定化・不安定化の調節、相互作用をさらに多角的に究明するため、ATAC-Seq, ChIP-Seq, Hi-C法を用い、アガツトンカルシウムスコアによる分類を基準としてヒト頚動脈で探求することを計画したが、令和3年度は、ヒト頚動脈粥腫として頚動脈内膜剥離術によって摘出した標本(-80℃凍結)を用い、石灰化含有度の評価は術前MDCTAで計測したカルシウムスコアおよびHE染色組織標本で行い、高石灰化と低石灰化粥腫群に分類した。超音波破砕で細胞を回収後、非イオン性活性剤で核を単離し、得られたクロマチンをTn5トランスポゼースにより、NGSシーケンスアダプタを標識しつつ断片化、ライブラリー調整後、PCRで増幅しNGSで解析し、MACSでpeakcallを検出、annotation付加し、Viewerで可視化後シーケンスリードによりクロマチン・アクセシビリティが高い領域、すなわち遺伝子の転写が活発に行われていると推測されるユークロマチン領域を検出するATAC-Seqを行い、オープンクロマチン領域にみられる塩基配列を網羅的に解析し、クロマチン・アクセシビリティの高・低石灰化粥腫群での差異を明らかにすることを計画しまずvalidation studyを行った。これらのデータを令和4年度以降のヒストン修飾、クロマチン高次構造探索の標的補足の基礎データとする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、ヒト頚動脈粥腫として頚動脈内膜剥離術によって摘出した標本(-80℃凍結)を用い、石灰化含有度の評価は術前MDCTAで計測したカルシウムスコアおよびHE染色組織標本で行い、高石灰化と低石灰化粥腫群に分類した。ATAC-Seqを行うべくまずValidation studyを行った。total readは3386万リードでhg38でのアライメントは3198万、重複を除いたユニークペアは2788万であった。MACS 2.1.0によるPEAK CALLING測定では、filtered peakは349、FLIP scoreは31%であった。以上のデータが算出されたことから、令和4年度以降の実験計画に応用可能でおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度に得られたATAC-Seq validation dataを元に、研究を修正、進展させるとともに、さらにヒト頚動脈粥腫として頚動脈内膜剥離術によって摘出した標本収集を進める。その際、RNAlaterを使用せず、直接組織を液体窒素に2分間暴露したのち、-80℃凍結することでクロマチン崩壊を防ぐ。さらにエピジェネティクスによる別機構制御解明のため、RNA-Seqを用いて、lncRNAの分析も同時に進める。
|
Causes of Carryover |
令和3年の国内学会および国際学会に伴う経費等への使用を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延による影響で、学会がWeb開催やHybrid開催となり、当該経費に関わる費用の一部を、令和4年度に持ち越す必要が生じたため。
|
Research Products
(3 results)