2022 Fiscal Year Research-status Report
神経膠腫におけるエクソソームを介した新規治療の開発
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21K09121
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
筒井 泰史 金沢大学, 附属病院, 助教 (00722042)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エクソソーム / 神経膠腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性神経膠腫に対する新規治療開発のアプローチとして、腫瘍の分泌するエクソソームによる腫瘍周囲微小環境の整備メカニズムの解明が本研究の目的である。先行研究では、悪性神経膠腫細胞が分泌したエクソソームを解析し、それが作用するマイクログリア内の遺伝子発現の変化を評価した。その遺伝子の発現を制御するたんぱくがエクソソーム内に含有されることを示し、その阻害により抗腫瘍効果が得られることを示した。本研究ではその結果をもとに、先に解明したものとは別の機序の検索とその解析をおこなう。すでに得られている複数の候補分子について検討をおこない、腫瘍の悪性形質に有意な影響をあたえる分子の同定をおこなった。これによりエクソソームを介した悪性神経膠腫の微小環境整備機構があきらかとなり、それを抑制することによる悪性形質の阻害ひいては抗腫瘍効果をしめすことができる。しかし、腫瘍の増大や浸潤への効果を示す分子の同定には至っておらず、今後も引き続き検証を続けていく方針である。先行研究では腫瘍が分泌するエクソソームが作用する標的細胞としてマイクログリアに着目した。同様の機序での解析が難しいようであれば、アストロサイトや血管内皮細胞などの他の腫瘍周囲細胞への影響も評価する必要があると考えている。また、腫瘍細胞の免疫回避機構に着目し、エクソソームの関与を解析することもすすめている。その機序が解明されれば、悪性神経膠腫の免疫回避能を阻害することにより、自身の免疫細胞による抗腫瘍効果を高め、神経膠腫に対する新規治療に直結する研究結果が得られると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究で挙げられた候補分子について研究をすすめているが、腫瘍の悪性形質に影響を与える分子の同定には至っていない。先の研究の結果では、エクソソームが作用したマイクログリア内の遺伝子発現の変化を評価し、その遺伝子の発現を制御するたんぱくがエクソソーム内に含有されることを示した。本研究では先行研究とは別の関連する分子の同定後に、メカニズムの解析やシグナルの評価をおこなう予定であったが、その分子が同定されておらず、当初の予定からは遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き関連分子の検証を続けていく方針である。先行研究では腫瘍が分泌するエクソソームが作用する細胞としてマイクログリアに着目したが、同様の機序での解析が難しいようであれば、他の腫瘍周囲細胞への影響も評価する必要があると考えている。 また、腫瘍の免疫回避機序へのエクソソームの関与についても新たに研究をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
実験が当初の予定通りすすんでいないことで多少の次年度使用額が生じている。次年度はさらなる動物実験を予定しており、翌年度分とあわせての助成金が必要となると考えている。
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