2021 Fiscal Year Research-status Report
脳動脈留破裂における危険因子としての高病原性う蝕原因菌による破裂メカニズム解明
Project/Area Number |
21K09124
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
梅村 和夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40232912)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 脳動脈瘤 / 破裂 / 高脂血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳動脈瘤の破裂の原因として、炎症、特に好中球の関与が考えられる。そこで、今年度の計画として、血管に炎症を起こさせることで、動脈瘤の破裂に同様な影響を及ぼすか、その際に炎症、特に好中球の役割について検討することとした。血管に起こさせるために、高脂血症による動脈硬化病変を形成させ検討することにした。LDL受容体およびApobec1を欠損させたマウス(Ldlr-/-, Apobec1-/-)を用いることによって血中の脂質レベルを高くし、そのマウスに実験的に脳動脈瘤を誘導することによって、脳動脈瘤の発生および破裂の変化をみた。 実験開始の1週間前に片腎を摘出した。脳底クモ膜下腔に豚膵エラスターゼを投与し、脳血管を脆弱化した。また、エラスターゼ投与後、皮下に徐放性のデスオキシコルチコステロンペレットを留置するとともに、飲水として1%食塩水を摂取させることで高血圧を誘導した。実験開始から3週間後に脳組織を摘出し、脳動脈瘤の有無およびくも膜下出血の有無を評価した。また、脳動脈瘤モデル作製後の脳血管の形態変化を経時的に観察をした。 コントロールとして用いたC57BL/6群は17匹中10例においてくも膜下出血がみられ、また4例に未破裂脳動脈瘤があった。一方、Ldlr-/-, Apobec1-/-群は28例中1例においてのみクモ膜下出血がみられ、10例に未破裂脳動脈瘤がみられた。脳動脈瘤モデル作製前は両群とも脳血管の形状に差は見られなかったが、Ldlr-/-, Apobec1-/-群は脳動脈瘤モデル作製により膠原線維に富む血管構造となっていた。 【まとめ】Ldlr-/-, Apobec1-/-群はクモ膜下出血がほとんどみられず、中膜に膠原線維に富む構造に構造変化をすることで脳動脈瘤破裂に対し保護的に作用する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳動脈瘤の破裂の原因を探索する研究であり、特に炎症の関与を検討するものである。今回の計画では、血管に炎症を起こさせ、それが脳動脈瘤の破裂にどのような影響を及ぼすかを検討するものである。今回の研究の結果から、これからの展開の糸口がつかめたと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回用いたモデルを用いて、脳動脈瘤部位での好中球の動態を観察する予定である。好中球の関与が認められた際には、好中球のどのような因子が、破裂に関与しているかを検討して行く方針である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染に伴い、1)物品納入までの期間の延長、2)教育におけるエフォートの増大(Web授業への切り替え、教育コンテンツの作成など)が発生し、当初の予定に比べて予算の執行に支障が出たため。ただし、成果に関しては、最低限は達成できている。
|