2021 Fiscal Year Research-status Report
ICG内視鏡を用いた術中下垂体腫瘍蛍光度定量化による腫瘍診断法の開発
Project/Area Number |
21K09139
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
天野 耕作 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60318102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 術中組織診断 / 蛍光度の定量化 / ICG内視鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、下垂体傍鞍部腫瘍摘出術における新たな術中情報源の確立である。腫瘍を周囲正常構造物から識別するには、色調、感触などから判断する術者の手術経験値、すなわち主観的要素に大きく依存している。主観的な評価は絶対的なものではなく、普遍性に乏しいため、どの施設でも一定水準の手術を行うためには客観的評価方法が必要となる。そこでTSSに革新をもたらし今や必須の光学機器である内視鏡と、顕微鏡手術における血管評価に有用性が証明されているインドシアニングリーン(ICG)蛍光法を組み合わせたICG内視鏡を用いて、術中蛍光度の定量化を行うことによって、腫瘍の種類・悪性度までをも術中に数値的に即時に判断できるようにすることを最終的な目標とする。 まず初めに各組織の蛍光度を定量化する手段を模索する。術中ビデオから得られた静止画像からPhotoShopなどのソフトを用いて各組織の定量化を行い、その数値、変位のパターンを測定する。次いで術中にモニター上で各組織の蛍光度を定量化できるソフトの開発を行う。術中蛍光度の定量化システムを開発した後は、術中にICG蛍光度を定量化するソフトを開発した後は、多数例の経験を積み重ね、数値化された蛍光度の盛衰と時間経過との相関関係、各組織の蛍光分布範囲の偏在性などから、各腫瘍の性質の違いによる規則性を導き出す。即ち、あるICGの投与量では、何分後に、どれだけの組織がどれだけの蛍光度を示すかを数値で現し、静止画像の定量化dataと比較しながら図表化する。さらに次の段階として、腫瘍により蛍光度が数値上どのような変化を示すかを導き出し、同じ腫瘍の中でも悪性度の違いでどのようなパターンを示すかを明らかにする。腫瘍の種類、悪性度の相違点をパターン化した後には、実際の手術中にその規則性が当てはまるか否か、術後の病理診断とともに整合性の確認を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下垂体・傍鞍部腫瘍に対してインドシアニングリーン(ICG)内視鏡を用いて経鼻的経蝶形骨手術を行い、腫瘍や周囲構造物を露出した後、ICGを注入して各組織の蛍光度を観察した。これまでに下垂体腺腫(非機能性、成長ホルモン産生、プロラクチン産生、ACTH産生、TSH産生)の他に、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫、黄色肉芽腫、胚細胞腫、転移性腫瘍、髄膜腫、神経膠腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍などの観察を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
更に腫瘍の数、種類を増やし、dataの積み重ねを行う。また蛍光度測定機器の開発についてはストルツ社との話し合いを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で活動が制限されたため
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