2023 Fiscal Year Research-status Report
RBPJの発現レベルに影響される膠芽腫の細胞形質転換とテモゾロミドの反応性
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21K09145
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 慎吾 金沢大学, 医学系, 助教 (40507084)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / Notch signal / RBPJ |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床上、膠芽腫に対する標準化学療法としてテモゾロミドが使用されている。しかしながらテモゾロミドの効果は患者間で異なっている。この原因の一つとして膠芽腫の遺伝子背景の違いが挙げられる。 細胞核内タンパクであるRBPJはNotch経路の発現制御に関わっており膠芽腫に発現していることを確認している。RBPJがテモゾロミド抵抗性に関与するかどうかを検証した。作成した患者由来の膠芽腫幹細胞株(コントロール群)とRBPJ抑制膠芽腫幹細胞株(RBPJ抑制群)にテモゾロミドを投与して細胞増殖試験を施行した。両群ともに濃度依存性に細胞増殖低下を認めたがRBPJ抑制群がコントロール群に対して有意に細胞増殖低下を示す結果は得られなかった。次に膠芽腫細胞株(T98)を用いてRBPJ抑制細胞株を作成しテモゾロミドを投与する細胞増殖試験を施行した。T98コントロール群とT98-RBPJ抑制群はテモゾロミドに対して濃度依存性に細胞増殖低下を示した。またT98-RBPJ抑制群はT98コントロール群に対して軽度テモゾロミドの血中濃度(IC50)が低下した。従って、膠芽腫細胞株に対してはRBPJ抑制によりテモゾロミドの反応性が向上したが、膠芽腫幹細胞株においてはRBPJ抑制によるテモゾロミドの反応性向上は認めなかった。異なった結果が得られた原因として、膠芽腫幹細胞はRBPJを抑制したとしても幹細胞性質は保たれた状態となっており、幹細胞性に由来する薬剤抵抗性がテモゾロミド反応性に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
膠芽腫幹細胞において想定される結果が得られにくい。 使用している細胞の感染があったため研究が一時的に停止した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在施行している膠芽腫幹細胞に対するRBPJの発現とテモゾロミドの反応性が上手くすすまないあるいは想定される結果が得られにくい場合は、幹細胞でなく 膠芽腫細胞株を使用してすすめることも検討する。既に臨床採用になっている薬剤の中でNotchシグナルのRBPJを阻害する薬剤が同定されており、この薬剤を用いることも検討する。
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Causes of Carryover |
想定される研究結果が得られにくい状態が継続し、現在の研究内容について再検討する必要性が生じたため。
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