2022 Fiscal Year Research-status Report
頚動脈狭窄症による網膜慢性虚血で生じる視力障害の病態と血行再建術の治療効果の解明
Project/Area Number |
21K09159
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
大宅 宗一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00383266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 信介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70774529)
小幡 博人 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80224301)
山崎 厚志 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70220291)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内頚動脈狭窄症 / 内頚動脈内膜剥離術 / 頚動脈ステント術 / 慢性眼虚血症候群 / 網膜血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動脈硬化を背景とする頚部内頚動脈狭窄症による慢性的な網脈絡膜低灌流という病態において、脳血行再建術後の網脈絡膜の血流増加と視力改善の 効果の関連を示すこと、そして改善するのであればどのような患者が視力改善効果の恩恵を受けるのかの予測因子を明らかにすること、を目的としている。われわれは以前に内頚動脈内膜剥離術のみの結果に関する先行研究を報告したが[Yoshida, Oya, et al. Acta Neurochir 2020]、近年発展著しいステント術による治 療も含め、多施設共同研究を行ってより実情に即した臨床的意義を探求する。評価項目は、1)術前後の術側および非術側における網脈絡膜血流の変化、2) 術前 後の自覚的視力の変化、ランドルト環による通常の視力の変化、そしてCSV-1000によるコントラスト感度の変化、である。先行研究において得られた網脈絡膜血流測定値の平均と標準偏差より計算し、2群比較であれば37人以上の患者で有意差の検出が可能となる。本研究では、治療法の違い(CEA vs CAS)、狭窄度、術前 の視力低下の有無、全身合併症の有無、症候の有無、によって予後予測因子に関する多変量の解析を行う予定であり、症例数は100例を予定している。2022年度末までで81例のデータ収集が終了しており経過は順調であるが、最終的な解析は予定症例数終了時にまとめて行う予定である。最終結果は必要症例数が終了してからの判断となるが、現状でCAS群では網脈絡膜への血流増加は見られるものの、視力の有意な改善はみられておらず、今後追加検討としてその原因検索を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加の他施設からの症例も十分数集積されており、順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
一部の症例で、網脈絡膜血流のレーザー機器による測定データの質が不良で解析できない症例が発生しているが、研究実績の概要で述べたようにCEA群とCAS群でそれぞれ37例あれば解析は可能であり、概ね問題のない状態である。最終結果は必要症例数が終了してからの判断となるが、現状でCAS群では網脈絡膜への血流増加は見られるものの、視力の有意な改善はみられていない。その原因として脳や網脈絡膜動脈へのmicroembolismの影響があるかもしれないと疑っており、現在optical coherence tomography angiographyによる微小塞栓の評価を行い解析中である。
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Causes of Carryover |
登録を予定した症例数が、わずかに予測を下回ったためことが理由であるが、2023年度もこのまま順調に登録が進めば解析には問題のない見込みである。
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