2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of malignant trait acquisition molecules in ependymoma induced by EphB4
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21K09171
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
淑瑠 ヘムラサビット 金沢大学, 医学系, 博士研究員 (10432113)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EphB4 / ependymoma / ephrin-B2 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】上衣腫は小児から若年成人の頭蓋内や脊髄に好発する脳腫瘍である。有効な化学療法はなく、開頭手術により全摘出を目指し、残存腫瘍があれば再発予防として放射線治療を行うことが現時点の標準治療である。新規治療法の開発のために上衣腫の生物学的特徴を明らかにする基礎研究が必要である。Eph受容体は膜貫通型の受容体チロシンキナーゼであり、エフリン(ephrin)と呼ばれる細胞膜に存在するリガンドと結合することによって両方向性の細胞内シグナルを伝達する。 EphA とEphBのサブクラスが 同定されており、様々ながんで悪性形質の維持に関与していると報告されているが、上衣腫についての検討はin situ hybridizationによるmRNA発現解析のみにとどまる。本研究では上衣腫におけるEph/ephrinの作用を解明し、さらに動物実験からEphB4阻害による新規上衣腫治療の可能性を探る。 【方法と結果】当科で得られた上衣腫の手術凍結検体、 4%PFA固定パラフィン包埋切片を対象とした。EphB1, B2, B3, B4, B6, ephrin-B2を一次抗体としEnvision+ 法による免疫染色を行った。腫瘍において免疫染色結果を5段階Score0:<10%, Score1: 10~25%, Score2:25~50%, Score3: 50~75%, Score4: >75%により評価した。蛍光二重染色にてEphB4, ephrinb2の共局在を確認し、蛋白発現をWestern blotにて解析した。5種類のEphB受容体ともGrade 2 10例中2例で腫瘍細胞の細胞膜に陽性、ephrin-B2は3例で腫瘍細胞の細胞膜に陽性所見を示した。一方、Grade 3 の4例中EphB1が2例、EphB2と EphB6が1例腫瘍細胞の細胞膜に陽性所見を示した。Grade 3 の全例EphB3が陰性、EphB4とephrin-B2は全例で細胞膜に陽性所見を示した。手術材料ではEphB4の免疫染色結果は蛋白レベルでもWestern blot結果と一致した。 【結論】EphB4, ephrin-B2の発現上昇は上衣腫の悪性形質に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EphB4シグナルメカニズムの解析としてSTAT3の関与が考えられたがその他の経路に関しては明らかな変化が見いだせていない。EphB4シグナルの細胞特性変化の解析は順調に進行している。上衣腫手術検体が限られており統計学的解析には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
EphB4シグナルメカニズムのさらなる解析を上衣腫細胞株で行う。また現在までに得られた腫瘍検体を元にEphB4シグナルの作用部位の特定、発現量、予後などを解析する。それらの結果をふまえ動物実験によるEphB4シグナルによる抗腫瘍効果を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で上衣腫の手術件数が減り、検体の収集が当初の予定より少なかったこと、物流の遅延が生じたことである。 次年度からは速やかに少しでもでも多く検体の収集に努め、これらの研究活動に経費を充てることとしている。
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Research Products
(1 results)