2021 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷に対する骨髄間葉系幹細胞移植による、脳脊髄での可塑性亢進メカニズムの解析
Project/Area Number |
21K09182
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岡 真一 札幌医科大学, その他部局等, 講師 (70789453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20538136) [Withdrawn]
横山 貴裕 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60896116)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007) [Withdrawn]
鵜飼 亮 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30896113)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳コネクトーム解析 / 脊髄損傷 / mesenchymal stem cells / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度、当院にMSC治療を目的に入院した脊髄損傷症例は、おおよそ20例を数え、順調に症例数を積み重ねている状況である。全ての脊髄損傷症例の脳、脊髄のMRIデータを検証した。撮像時期は、原則、入院時、投与直前、 投与1ヶ月後、投与3ヶ月後、投与6ヶ月後の時点としていたかが、投与条件に当てはまらず投与を受けなかった症例や入院病床の調整の関係で、MRIの撮像を出来ない症例も散見された。特に脳DTIデータを用いたコネクトーム解析では、標準化の方法、使用する脳atlasの選択、ROI間の接続強度の閾値設定など、症例間でばらつきのない均一な解析を実施するためのパラメータの設定の検討を引き続き実施している。さらに、T1WI、T2WIなどを用いて大脳皮質厚や体積などの構造学的なデータ解析も同時に実施し、コネクトーム解析で得られた結果との比較も実施している。また、脊髄MRIでは、個々の症例においてDTI解析の可否や、定量的な解析を実施し、データの蓄積を行っている。撮像データの解析、特にDTIデータの解析を目的として高機能のパーソナルコンピューターを別途購入し、専用のアプリケーションにて解析を実施した。 ラット脊髄損傷モデルに対して骨髄間葉系幹細胞(MSC)の経静脈投与することによって、中枢神経系にどのような神経回路の再構築(plasticity)が生じるかを検証するため、ラット胸髄Th9レベルの脊髄損傷モデルを作成し、動物用MRIでの撮像条件の最適化を検討した。8-9週齢のSDラットを購入し、ラット用脊髄損傷作 成装置(IH-0400 Impactor; PSI社製)を用いて、安定した損傷部位を作成できることを確認した。その後、動物実験用高磁場MRI装置にて、脳、脊髄おける各種プロトコール(T1、T2、DTI等)での撮像を行い、撮像条件の調整を行い最適な撮像条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験モデルにおける脳コネクトーム解析は、撮像条件によってはばらつきが生じる可能性があることから、撮像条件については、よく検討する必要があろうかと思われる。実際に撮像データを用いてのコネクトーム解析とその結果をフィードバックして撮像条件の検討を実施している。これまでのところ、概ね予定通りに動物実験モデルでの研究は進展している。 臨床MRIデータを用いた解析も並行し、解析条件の検討を行っているが、こちらも概ね予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験モデルにおいて、MRI撮像条件の一定のプロトコール作成が終了した後、引き続いて、ラット脊髄損傷モデルに対する骨髄間葉系幹細胞(MSC)の移植実験を実施し、同一プロトコールでのMRIデータ収集を行う予定である。 臨床例においては、新たな脊髄損傷患者のデータを加えながら、コネクトーム解析、構造的解析を実施し、データの収集を行う予定である。また、これらのデータの集積を行い、移植前後での変化の有無、変化している部位の特定、神経機能障害の変化との相関等、さらに多角的に検証を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では、海外で行われる学会への費用を計上していたが、渡航制限により出席が出来なかったことが挙げられる。次年度は、海外学会への出席、さらに動物実験モデルにおける、さらなるデータの蓄積を計画している。
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