2021 Fiscal Year Research-status Report
虚血性脳卒中に対する移植幹細胞の神経再生過程の可視化と作用機序の解明
Project/Area Number |
21K09186
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 謙介 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20400674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 亮太郎 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10552309)
大根田 修 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30311872)
丸島 愛樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40722525)
穐吉 亮平 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80572859)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 再生医療 / 幹細胞 / 二光子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血性脳卒中に対する再生医療では、細胞医薬の静脈内投与と脳内直接移植が行われている。その主要な効果は、移植細胞からの栄養因子、抗炎症作用、免疫調整作用による神経保護効果と、それに伴う神経症状の改善である。しかし、神経保護効果は病態改善を目的とした対症療法的な治療に過ぎず、中枢神経系ネットワークの組織再生を目的とした根治的な再生医療は実現していない。そのため、現行の再生医療を行っても脳卒中後の症状回復には限界があり、後遺症は免れない。効果的な根治的再生医療を実現するには、移植細胞の脳梗塞病変部への遊走、生着、分化、そして中枢神経系ネットワークの再生が必要である。そこで本研究では、異なる組織から得た各種幹細胞をマウス脳梗塞モデルに静脈内投与、もしくは脳内直接移植を行い、脳梗塞病変部への移植細胞の遊走、生着、分化、ネットワーク形成を経時的、かつ組織学的に評価し、移植細胞と移植方法の違いによる神経再生医療の有効性の違いを明らかにする。そして、将来行われるべき根治的再生医療の実現に向けて、効果的な移植治療法とその神経再生機序を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、臍帯血由来間葉系幹細胞(UC-EPC)の虚血部位における血管新生能や神経細胞保護作用に着目し、その効果を報告した。その後、脂肪由来間葉系幹細胞(AT-MSC)の経静脈投与においても脳保護作用を明らにしたが、移植細胞の生着による再生効果は確認できなかった。本研究では、我々が開発した歯髄由来の間葉系幹細胞(DP-MSC)、神経系細胞(DP-NSC)のマウス脳梗塞モデルへの脳内直接移植により、移植細胞が脳梗塞病変部へ遊走、生着し、アストロサイトや未熟神経系細胞へ分化することを明らかにした。そして、マウスの神経症状の改善効果を認めた。現在、細胞移植の有効性の作用機序を解明するために、移植細胞の遊走、分化、中枢神経系ネットワーク再構築の過程を経時的に評価し、同時に形態学的変化と中枢神経系細胞への分化の過程を可視化する研究に取り組んでいる。本研究は、脳内細胞移植後の過程をダイナミックに評価できる創造的研究であり、細胞治療による神経再生医療の新たなメカニズムの解明が期待できる。また、神経細胞の可視化のためアデノ随伴ウイルスベクター(pAAV-syn-GFP)を用いて神経細胞にGFP発現させたマウスモデルを確立している。全身麻酔下にイメージング用頭蓋窓を作製し、頭蓋窓作成後に、ローズベンガル光応答性を利用したマウス脳梗塞モデルを確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、脳梗塞モデルに、異なる組織から樹立した前駆細胞、幹細胞を直接移植、もしくは静脈投与、動脈投与し、移植細胞の経時的、組織学的変化を、細胞表面抗原、シナプス形成を評価し、神経症状の改善効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
動物実験の進み具合が遅れ、予想より少数の実験しか施行できなかったため、その分を次年度に繰り越させていただき、実験を実施する見込みです。
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