2021 Fiscal Year Research-status Report
pHイメージングを用いた脳梗塞における酸感受性イオンチャネルの分子機構の解明
Project/Area Number |
21K09189
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五十嵐 崇浩 日本大学, 医学部, 医師職等特別職 (20468747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 秀規 日本大学, 医学部, 准教授 (20328735)
須磨 健 日本大学, 医学部, 准教授 (20526115)
大谷 直樹 日本大学, 医学部, 准教授 (20573637)
梶本 隆太 日本大学, 医学部, 助手 (90883041)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 脳梗塞 / pH イメージング / 酸感受性イオンチャネル / Epac / HMGB 1 / 正常酸素療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)脳梗塞後の酸素投与(NBO)による脳pH imagingと酸感受性チャネル(ASICs)とpH変化のサロゲートマーカー発現の経時的変化を確認すること、2)ASICs、サロゲートマーカー発現とHMGB1の放出を分析すること、3)薬物の投与によりASICs(もしくはサロゲートマーカー)を制御することで炎症性反応の抑制効果を確認すること、4)ASICs(もしくはサロゲートマーカー)制御の神経機能への影響を評価することである。令和3年度は、脳梗塞後のpH変化とサロゲートマーカーに着目して研究を実施した。我々は、細胞のpH変化によりExchange protein directly activated by cAMP (Epac)の活性が変化する事を突き止めた。Epac活性は細胞内エネルギー代謝だけでなく、炎症性反応や細胞接着にも関わりをもっていることが解り、今後pH変化のサロゲートマーカーとして重要になると考える。NBOを行うことによりpH低下を軽減し、Epac活性低下を軽減することが判明し残りの研究期間に有用な結果を残すことが出来た。この結果はNBOにより二次性脳損傷を抑制することで脳梗塞後の生命・機能予後の改善に寄与すると考える。NBOとpH変化(サロゲートマーカーとしてのEpac活性)の経時的変化を確認したので、次年度に行う「脳梗塞後の有効なpHの制御法(Epac活性の制御)」の検討準備にとりかかった。この病態解明は臨床へと還元できる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前より着目していた脳梗塞後のpH変化とEpac活性を中心に研究を進めた。その結果,Epac活性がpH変化のサロゲートマーカーとして重要な役割をしている事がわかった。また,NBOを行う事で虚血ペナンブラ領域のpH変化を軽減させ,Epac活性の低下も抑制できる事が確認できた。その為,本課題の進捗状況はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,脳梗塞後の有効なpHの制御法(Epac活性の制御)の検討を行う。ラット中大脳動脈閉塞モデルを引き続き使用する。モデル作成後,pH測定用センサーシートを用いてpH分布を可視可し,記録する。pH制御の為にPcTx1の薬物噴霧経鼻投与を行う。薬物の投与時間は,NBO開始(非NBO群は空気投与開始)から、開始直後,2,4時間後に各群に行う。pH関連因子としてEpac1,2,炎症性関連因子としてIL-1,IL-6,TNFα,MMP-9はPCR 法にて定量する。またWestern blottingでEpac1,2と,pH変化に伴う「核の損傷」の指標として、HMGB1の定量を行う。令和5年度は,脳梗塞後の機能予後とEpac活性の評価を行う。Gracia’s scoreを用いた簡易的神経機能的評価は行っているが,機能予後として神経行動学的評価を行う。脳梗塞後3日、7日後にロタロッド試験を行う。試験終了後還流固定し脳を摘出する。これをEpac活性とHMGB-1の免疫染色し梗塞中心と梗塞周囲の変化を比較する。分子的病態解明の段階が終了したので,薬剤制御と神経行動学的評価が今後の研究の中心となる。
|
Causes of Carryover |
令和3年度中に購入予定であった海外製造・販売の試薬が,新型コロナウィルス感染症の世界的拡大とロシアのウクライナ侵攻による物流の遅延により,やむなく次年度(令和4年度)使用となった。
|
Research Products
(2 results)