2022 Fiscal Year Research-status Report
フルオレセイン蛍光造影法を用いた末梢神経絞扼性障害の病態解明ー基礎から臨床ー
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21K09210
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡田 充弘 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40309571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 卓哉 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (90711820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 末梢神経絞扼性障害 / 末梢神経栄養血管 / 血行動態 / フルオレセイン蛍光法 / インドシニアングリーン蛍光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,蛍光造影法を用いて末梢神経栄養血管の血行動態を解析し,末梢神経絞扼性障害の重症度に応じた治療法の開発につなげることである.蛍光造影法には,インドシアニングリーンやフルオレセインが臨床で用いられている.これらの蛍光造影法は微小な血行動態の評価が可能であり,末梢神経の微小な栄養血管の血行動態の評価に応用する. 先行研究で,インドシアニングリーンの特性により,神経上膜内の血流評価は可能であったが神経内膜内の血流評価はできないことが判明した.そのため,神経内膜内の血流障害が生じる末梢神経絞扼性障害の重症例を詳細に評価できなかった.この課題を解決するため,フルオレセイン蛍光法を追加し,末梢神経栄養血管の血行動態を評価する. 本研究は,臨床研究と基礎研究で実施する.臨床研究では,末梢神経絞扼性障害の患者において,術中に神経の絞扼部と蛍光造影法による蛍光輝度の変化を記録し、解析することで,末梢神経絞扼性障害の重症度との関連性について検討を加える. 基礎研究では,レーザードプラ血流計との比較検討を行う.現在,国内外の末梢神経の血流に関する研究では,レーザードプラ血流計が主に用いられているが,レーザードプラ血流計は簡易な計測方法であるが,測定深度が浅いため,末梢神経の表層の血流の測定値を神経全体の血流として捉えているという欠点がある.ラットを用いた基礎研究で,フルオレセイン蛍光造影法とレーザードプラ血流計の測定値を比較検討して,フルオレセイン蛍光造影法を末梢神経の血流測定に用いる利点を確認する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究を主に進めている. ラット坐骨神経絞扼モデルを用い,フルオレセイン蛍光法とレーザードプラ血流計で末梢神経の血流測定をおこなった.8週間を2週間ごとに血流測定をおこなった.フルオレセイン蛍光法とレーザードプラ血流計ともに絞扼性障害が重度になるにしたがい,計測値の低下を認めた.フルオレセイン蛍光法では4週目から有意に計測値に低下を認めたが,レーザードプラ血流計では6週目から有意に計測値の低下が確認できた.これは,フルオレセイン蛍光法をもちいれば早期に血流障害が発生していることが検出可能であることを示唆していると考えた.
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究で対象数を増加させる. 本年度の結果から,フルオレセイン蛍光法では早期から末梢神経障害による血流障害を検出できることがわかった.更に,重度の末梢末梢神経絞扼性障害における血流障害は,本研究の仮説とおり,レーザードプラ血流計では有意に計測できない可能性も示唆された.フルオレセイン蛍光法とレーザードプラ血流計の測定値から末梢神経絞扼性障害の重症度との関連性について検討を加える. また,この基礎研究をもとに,末梢神経絞扼性障害の手術症例で,血流変化と臨床症状について検討もおこなう予定である.
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