2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K09212
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 和毅 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60235322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 暁子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40594536)
宮本 健史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70383768)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪由来間葉系幹細胞株 / 血小板 / 腱付着部炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
ASCL血小板の抗炎症効果と組織再生能を評価するために、2つの動物実験モデルを作成した。すなわち、抗炎症効果の検証ためにratアキレス腱を切離するモデルと組織再生能を評価するためにcollagenaseによるアキレス腱変性モデルである。各モデルにASCL血小板を投与し、抗炎症効果、腱修復効果について検証した。 アキレス腱切離モデル(10週齢)で投与3日後の時点にASCL血小板群で有意にIL-6、IL-1βの値が減少していることが確認された。これはアキレス腱切断による急性炎症がASCL血小板投与により沈静化されたことを示唆する。組織学的所見(HE染色)では、投与後1週の時点で、ASCL血小板投与群ではcontrol群と比較して炎症細胞が減少しているのが認められた。また、IL-6の免疫染色においても、ASCL血小板群ではPBS群と比較してIL-6発現量が減じており、抗炎症効果が示唆された。 アキレス腱collagenaseモデルでは、投与後4週でASCL血小板投与群で有意に最大破断強度が強くなっていることを確認した。投与後1,2,4週のアキレス腱組織の肉眼所見は、PBS投与群では腱自体が腫脹し光沢が消失しているのに対してASCL血小板投与群は正常腱に近い様相を呈していた。Bonar scoreは投与後4週で有意にASCL血小板投与群で腱が修復されていた。またreal-time-PCRではcollagen-1、collagen-3、SCX、TNCなどの腱修復に関するサイトカイン発現量を測定した。投与後4週でcollagen-3、SCX、TNCで有意にASCL血小板投与群のほうが上昇していた。 ASCL血小板の抗炎症効果、組織再性能を証明する結果が揃いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大方、仮説通りの結果が出ており、研究全体としても順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
抗炎症効果、組織再性能ともにさらなる結果を積み上げていく予定である。 抗炎症効果については、ASCL血小板の抗炎症カスケードを解明するために、in vitroでNIH3T3細胞に対してIL6/sIL6Rを添加、PBS、ASCL血小板を投与して、JAK/STATの発現量をReal-Time PCRまたはWestern Blottingで確認する予定である。 組織再生能に関しては、in vivoでの結果が揃いつつあるのでin vitroの検討を行う予定である。ratアキレス腱より腱芽細胞を作成し、ASCL血小板投与群とPBS投与群のサイトカイン発現量を比較する。またwestern blotを行いリン酸化シグナル経路の活性化を検出することにより、ASCL血小板の効果発現の経路を解明する予定である。 以上の結果が揃い次第、論文化し、学会発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
薬品購入を予定していたが残額6,197円では不足であったため購入を断念しました。次年度予算と合わせて薬品を購入致します。
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