2022 Fiscal Year Research-status Report
踵部痛の病態に関する研究 ‐踵部脂肪体の形態および力学的特性の変化について
Project/Area Number |
21K09215
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
熊井 司 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (40382288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 踵部脂肪体 / 荷重 / 超音波画像診断装置 / 体外衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
①踵部脂肪体の荷重形態変化測定に向けた評価器具の開発:荷重及び抜重時の踵部脂肪体動態を、超音波画像診断装置を用いて明らかにすることに成功した。この成果は既に国際誌で2編掲載されており、現在も同装置を用いた発展研究に取り組んでいる。 ②踵部脂肪体の力学的特性(弾性)評価:踵部脂肪体は荷重に伴い弾性が高くなる。開発した評価器具を用いて、荷重量を調節しながら測定を行ったところ、体重の約20%~30%までの荷重量であれば、踵部脂肪体の弾性を測定することが可能であるこが明らかとなっている。現在は、荷重量を増やしても安定した値が測定出来るよう、研究に取り組んでいる。 ③踵部痛治癒過程における踵部脂肪体の形態的・力学的特性変化:踵部痛患者に対する治療法として、理学療法や注射、内服よりも体外衝撃波が有効であると報告されている。弾性線維の変性・破壊、健全な脂肪組織の減少・流出などによる菲薄化(形態的変化)が見られる踵部痛においても有効であることから、形態的特性に影響を与える可能性が推察され、また、それに伴う力学的特性変化が生じている可能性が示唆されるものの、未解明のままであった。現在、踵部痛を有する大学生アスリートを対象に体外衝撃波治療を行い、形態的変化と力学的変化を実施している。対象者が中々集まらない為、現在病院などへの協力準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年(令和4年度)は、踵部脂肪体の荷重及び抜重に伴う形態特性(厚さ)変化及び弾性変化を中心に、測定を行った。昨年に引き続き、荷重装置を用いた測定は日本足の外科学会、日本臨床スポーツ医学会及び、講演会などで発表し、継続して研究成果を報告している。また、国際誌に既に2編掲載され、現在も2編投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年新型コロナウイルスにより、実施が延期されていた踵部痛患者に対する体外衝撃波の照射を現在進めており、今年度の学会でその成果を報告する準備を進めている。現在は、大学に所属するアスリートを対象に踵部痛患者のリクルートを実施しているが、対象者数が中々集まりにくい為、病院でのリクルート準備を進めている。また、スポーツ種目別に踵部脂肪体の形態的・力学的特性の調査を進めたところ、活動サーフェスによって踵部脂肪体の形態的・力学的特性に差異が生じる可能性が現在解析を進めて分かってきた。今後更に解析を進め、学会での発表及び国際誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
昨年同様、踵部痛患者を対象に病院での踵部脂肪体の形態と機能特性を測定予定であったものの、新型コロナウイルス蔓延による影響で測定の実施が困難となり、延期を余儀なくされた。繰越費用は、測定が実施出来た際に被験者へ支払い予定であった協力謝金、並びに検者の移動・宿泊費、機材借用・輸送費等に使用予定であった費用である。昨年実施出来なかった病院での踵部痛患者の測定を、繰越費用を用いて、実施する方向で現在準備を進めている。
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