2023 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative treatment of soft tissue tumors by air plasma-activated medium
Project/Area Number |
21K09217
|
Research Institution | Plasma ChemiBio Laboratory |
Principal Investigator |
鈴木 良弘 一般社団法人プラズマ化学生物学研究所, 研究部, 代表理事 (80206549)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 骨軟部腫瘍 / 一酸化窒素 / 活性酸素 / 低温大気圧プラズマ照射液 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究からAPAMは骨肉腫細胞株によってアポトーシスとカスパーゼ非依存性/活性酸素(ROS) 依存性細胞死を誘発し、後者のひとつにはフェロトーシスがあることが示された。また、H2O2が細胞死の重要なメディエーターであることも明確になった。H2O2がプラズマ照射液中に含まれることは広く知られており、それが細胞内H2O2濃度を増加させてH2O2依存性のMPMCを誘発すると考えられた。しかし、APAM中のH2O2を定量したところ、その濃度はμMレベルに過ぎず、大きな酸化ストレスを起こすとは考えにくかった。実際、同量のH2O2添加ではAPAMの抗腫瘍作用を含む生物学的効果は模倣できなかった。APAM作製中にオゾン(O3)の生成をその独特の臭気から発見した。O3はH2O2よりも強い酸化力を持つので、APAM中にO3が溶解してこれが酸化ストレスを起こすとの仮説を立てた。事実、APAM中には数十mg/Lの高い濃度のO3が存在することを見出した。そこで、純粋酸素を用いてO3溶液(ODM)を作成してその組成を調べた結果、APAMと同レベルのO3とH2O2を検出した。 ODMはAPAMと同等の抗腫瘍作用を発揮した。さらに、MPMC、MPMCに関与するミトコンドリア酸化ストレス、ミトコンドリア輸送に必要な微小管リモデリングをH2O2依存性に誘発した。APAMと同様に、ODMも非腫瘍細胞ではMPMCも細胞毒性も示さなかった。ODMもフェロトーシスを含む鉄依存性細胞死を増加させた。さらに、Fe (II)プローブを用いた生細胞イメージングからAPAMと同様に、ODMもオルガネラ内の不安定Fe (II)を減少させることを見出した。 これらの結果は、H2O2とFe (II)によって酸化的細胞死を誘発することによりO3がAPAMの抗腫瘍作用の決定的なメディエーターとなることを示す。
|