2023 Fiscal Year Annual Research Report
小児腰痛の心理社会的要因および生活の質との関連性に関する研究
Project/Area Number |
21K09222
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
平野 徹 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (10334682)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 思春期 / 腰背部痛 / QOL / 心理社会的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
新潟市在住の中学2年生、2500名に、①痛みの有無や部位などに関する質問票、②包括的健康関連QOL尺度“PedsQL”、③適応と行動的・情緒的問題の包括的尺度“強さと困難さアンケート (SDQ)”を送付し、解析可能であった症例において以下の結果を得た。 1.腰背部痛の有訴率(解析可能人数1171):調査時有訴率/生涯有訴率は、背部痛が3.0%/13.8%、腰痛が8.2%/27.8%であった。 2.腰背部痛とQOLの関連(解析可能人数1171):PedsQLは背部痛、腰痛ともに、あり群はなし群に比べ4つの下位尺度全てが有意に低値であり、調査時疼痛のみでなく生涯疼痛でも同様であった。調査時および生涯腰背部痛あり、の両群ともに疼痛程度(face scale)とPedsQL(総合得点、身体サマリ-得点)には負の相関を認めた。すなわち、疼痛程度が強いほどQOLは低下していた。 3.腰背部痛と心理社会的要因の関連(解析可能人数1171):SDQは調査時背部痛あり群と調査時および生涯腰痛あり群で5つの下位尺度のうち2つ(行為、情緒)、生涯背部痛あり群では4つ(向社会的以外)で、なし群よりも有意に高値であった。調査時および生涯腰背部痛あり、の両群ともSDQとは相関しなかった。すなわち、腰背部痛とSDQの関連は否定できないが、QOLほどの関連はないと思われた。4.腰痛の関連因子(解析可能人数1082):現在の腰痛あり/なしの2群間で性別、BMI、スポーツ活動、他部位疼痛、PedsQL、SDQ を比較した結果、BMI、 スポーツ活動あり、他部位の疼痛あり、PedsQL合計、PedsQL身体サマリー、PedsQL心理社会サマリー、 SDQ総合で有意差を認めた。思春期における腰痛の関連因子として、高BMI、低QOL、心理社会的問題あり、スポーツ活動あり、が示唆された。 本研究より、思春期腰痛の本邦における特徴を明らかにすることができ、今後の小児腰痛の予防法策定への一助となると思われる。
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