2021 Fiscal Year Research-status Report
液体窒素を用いた腫瘍処理骨再建術における処理骨周囲膜組織の機能解明
Project/Area Number |
21K09223
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
淺野 陽平 金沢大学, 附属病院, 医員 (10868194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 弘行 金沢大学, 医学系, 教授 (40227434)
山本 憲男 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (90332668)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 液体窒素処理骨 / 長管骨骨軟部腫瘍 / Induced membrane |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において,研究実施計画のうち動物モデルの作製手技の確立と膜組織の組織学的解析を重点的に実施した.本研究は,ラットの大腿骨に骨欠損を作成した後,創外固定を使用して固定を行い,各採取時期において欠損部に留置したスペーサー表面の膜組織を採取するという方法を採用している.動物モデル作製においては,大腿骨径に対する創外固定のスクリュー径が太く,スクリュー挿入時に大腿骨骨折を生じてしまうことや,経過でスクリューサイトの骨折を生じているモデルが散見された.そのため,当初予定していたよりも動物モデル作製に難航した.対応として,大腿骨に創外固定のスクリューを挿入する前に,スクリュー径-1mmのドリルでプレドリリングを行い,スムーズにスクリュー挿入を行うことで術中と術後の骨折を大幅に予防することができた.実際に採取した膜組織に関しては,主にHE染色による病理組織学的評価とリアルタイムPCRによる骨形成関連因子の発現を調査した.HE染色による評価では,セメント・液体窒素処理骨いずれの表面の膜組織もスペーサー表面側に密な細胞層が形成され,その外側に線維組織が形成されており,2層構造を形成していた.この構造は,過去のMasquelet法におけるInduced membraneの報告における病理組織像と一致しており,液体窒素処理骨周囲にもInduced membraneと同様の構造を呈する膜組織が形成されることを明らかにした.また,モデル作製から2,4,6,8週で採取した膜組織に対して行ったリアルタイムPCRでは,途中経過ではあるものの,いずれの採取時期においても液体窒素処理骨周囲の膜組織で骨形成関連因子(BMP-2,TGF-β1,VEGF)の高発現を認めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要欄でも記載したが,動物モデルの作製において手技の確立に難航したことが理由の一つである.また,本研究では,モデル作製後2,4,6,8週の時点で動物を屠殺し,必要な膜組織を採取しているが,6,8週モデルでは創外固定のスクリューサイトでの感染を生じ,検体採取ができないモデルが比較的多かったことも実験の遅れの原因となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルの作製手技はほぼ確立できているため,今後は予定していた計画スケジュールで進められると考えている.ただ,感染モデルが一定数出ており,これに対する予防策がまだ講じられていない.抗生剤使用では適正量の投与でも死亡例がでることがあり,少ない量を投与しているのが現状であるため,投与量の調整が必要である.抗生剤により感染をコントロールできれば,さらに実験の進行速度を上げることが可能であると考えている.
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Causes of Carryover |
動物モデル作製の確立に難航し,当初予定していた解析(免疫染色,リアルタイムPCRなど)まで十分に行えていないため,それらにかかる費用が残ったためと考えられる.今年度は予定していた解析を行うスケジュールであり,試薬や器材の費用に使用する予定である.
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