2022 Fiscal Year Research-status Report
肉腫と血小板の相互作用による増殖・転移誘導とその分子機構を標的とした治療法の開発
Project/Area Number |
21K09224
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
谷口 直史 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (40402060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 二郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (00456469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 血小板 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨軟部肉腫領域での化学療法は、この20年間で大きな進展がなく、特に肺転移症例の予後は極めて低いため、転移機序の解明と新規治療法への展開が強く求めら れている。我々の研究室では肉腫の腫瘍微小環境に注目し、肉腫による凝固系や血小板TGF-βの重要性を報告してきた。近年、癌腫(Carcinoma)と血小板の相 互作用が増殖・転移に関わると報告され、血小板が新規治療標的として注目を集めている。我々は、先行研究で、肉腫ポドプラニン(Pod)が血小板受容体CLEC- 2と結合し、血小板凝集が起こることを見出した。そこで本研究では、肉腫Podによる血小板CLEC-2との相互作用と血小板放出因子による肉腫活性化の詳細を解明 し、更にCLEC-2抗体による新規治療の可能性と臨床検体を用いた検討を行い、肉腫の増殖・転移における血小板CLEC-2の重要性を証明すること、を目的とする。2021年度に骨肉腫Podによる血小板CLEC-2を介した血小板凝集を確認した。2022年度は血小板凝集の際に血小板から放出される因子を検索した。まず、ポジティブコントロールとしてPlatelet Factor-4の上昇をELISAで確認し、その上清のサイトカインアレイを行った。様々な因子の増加を見たが、CXCL5、CXCL7などは血小板のみからの放出が確認された。更にこの2つのケモカインへの骨肉腫細胞への効果をMigration、Invasionで検討した。CXCL5、CXCL7ともにMigration、Invasionともに促進的に作用しており、それぞれの中和抗体で抑制できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ターゲットとなるケモカインは同定できたものの、その詳細な作用がMigration、Invasionしか確認できていない。受容体や細胞内シグナルの検討を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
CXCL5,CXCL7の骨肉腫への作用の詳細な機序をVitroで今後検討し、Vivoの実験につなげていく。Vitroであるが、CXCL5、CXCL7ともにCXCR1、CXCR2が受容体になるとされている。まず、骨肉腫でこの受容体の発現があるかを検討する。その次にそれぞれのリコンビナントタンパクを用いてどの細胞内シグナルをリン酸化するかを検討する。今までには他の細胞株で、ERKやAKTなどが関与すると言われており、そこを主体に検討したい。次にFunctionとして、細胞増殖・移動能・浸潤能などを検討する。これらの実験では、CXCL5,7の中和抗体やCXCR1,2の受容体阻害剤も用いる。これらを基にVivoの実験を行う。
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