2022 Fiscal Year Research-status Report
脊椎疾患に由来する神経障害性疼痛に対する抗HMGB1抗体の意義
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21K09229
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部) |
Principal Investigator |
高尾 真一郎 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター(臨床研究部), 整形外科医師 (20847842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 治夫 岡山大学, 大学病院, 助教 (60448222)
鉄永 倫子 岡山大学, 大学病院, 助教 (70601384)
鉄永 智紀 岡山大学, 大学病院, 助教 (90571224)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HMGB1 / 神経障害性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織損傷に応じて細胞外へ放出され、炎症を惹起する細胞核内タンパクであるHigh Mobility Group Box 1 (HMGB1)が、神経障害性疼痛患者における、疼痛の客観的評価指標バイオマーカーとしての有用性を明らかなにするため、当該年度の前年度では、研究対照群として疼痛を有さない、もしくは、軽微な程度の疼痛のみを有する患者の血漿HMGB1濃度の測定を実施し、本研究で使用している、血漿試料中のHMGB1濃度を測定する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットを用いた先行研究における健常群(対照群)で測定された血漿HMGB1濃度と大きな相違がなかいという結果を得た。 その結果をもとに、当該年度では、外来通院されている神経障害性疼痛を有する慢性疼痛患者の血漿HMGB1濃度の測定を実施した。pain-DETECTと呼ばれる神経障害性疼痛のスクリーニングツールを用いて神経障害性疼痛の有無を調査している。 痛みの程度を示す指標であるNumerical rating scale (NRS)とは有意な相関を示さなかったものの、神経障害性疼痛のスクリーニングツールであるpain-DETECTのスコアが高い群では、低い群と比較して血漿HMGB1濃度が有意に高値であった。 本結果をもとに、今後、手術を必要とする脊椎疾患を有する神経障害性疼痛患者の血漿HMGB1濃度を測定し、健常群や当該年度に調査した外来通院されている神経障害性疼痛を有する慢性疼痛患者との比較を行い、神経障害性疼痛患者におけるバイオマーカーおしての血漿HMGB1の有用性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度では、コロナウイルス感染症の拡大に伴い、脊椎疾患に由来する神経障害性疼痛を有する脊椎手術患者および変形性股関節症などの侵害受容性疼痛を有する股関節手術患者が、予定症例数よりも大幅に少なかったために、研究対照群として、疼痛を有さない、ましくは、軽微な疼痛のみを有する患者における血漿MGB1濃度を測定している。 当該年度では所属施設が変わったことで、脊椎疾患に由来する神経障害性疼痛を有する脊椎手術患者数が少なかったため、外来通院されている神経障害性疼痛を有する慢性疼痛患者の血漿HMGB1濃度を測定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、当施設においての脊椎疾患に由来する神経障害性疼痛を有する脊椎手術患者からの血漿HMGB1濃度の測定を進める。同時に、研究対照群としての、疼痛を有さない、もしくは、軽微な疼痛のみを有する患者の血漿HMGB1濃度の測定を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度では所属施設の変更があったため、症例数が予定よりも少数であったため、測定にかかる費用等に残額が生じた。また、血漿HMGB1濃度の測定を行うELISAキットの費用負担が不要となったことも残額を生じた要因となった。 次年度の脊椎疾患に由来する神経障害性疼痛患者、および、疼痛のない、もしくは疼痛の程度が軽微な患者の血漿HMGB1濃度の測定を行うための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットの購入、また、患者への疼痛関連アンケート作成、および、研究結果解析を行い、研究結果を国内の学会(日本整形外科学会など)での発表を予定している。
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