2022 Fiscal Year Research-status Report
骨折治癒過程におけるマイオカイン:irisinの役割とその機序解明
Project/Area Number |
21K09233
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
大田 陽一 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50633484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洲鎌 亮 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00779457)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイオカイン / 骨形成タンパク / 骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器の主要な構成体である骨は、その周囲の筋肉と協調して恒常性を維持している。よって、骨損傷時には、骨組織自体の因子の他に、周囲の組織環境因子としての筋組織の役割は骨組織の修復やその後のリモデリングに重要であると考えられる。 本研究では、骨・筋組織両者に関わるサイトカインであるマイオカイン:irisinに着目し、irisinの骨折治癒過程における効果について、骨組織に内在し骨癒合に重要な役割を果たす骨形成タンパク;Bone Morphogenetic Protein(BMP)との相互作用機構を明らかにする。In vivo BMP誘導骨形成に対するirisinの効果を検証するために、ポリエチレングリコールペレットにrh-BMP2(5μg)を含有した。生後4週齢のマウスの背筋膜下にこれらペレットを埋植し、rh-irisin(100μg/kg)をマウス腹腔内に全身投与を行った。irisinによるBMP誘導異所性骨形成に対する影響を検討するため、rh-irisin非投与群をコントロールとしてマイクロCTを用いた骨微細構造解析を行った。rh-irisin(100μg/kg)投与群ではコントロール群に比べて平均骨体積(TV)、平均骨梁体積BV、平均骨微細構造BV/TV及び平均骨塩量は有意に増加した。また、in vitroの実験系において、C2C12細胞を培養し、rh-BMP2 (200ng/mL) 添加し骨芽細胞分化を誘導する。rh-irisin(100ng/mL)投与後のRNAを回収し、骨芽細胞分化マーカーとしてALPの発現量をReal time RT-PCR法を用いて解析した。rh-BMP2投与によってALP活性の上昇を認めた。rh-irisin 100ng/ml共投与群ではrh-BMP2単独投与群に比べて有意なALP活性の上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vitro実験系におけるrh-irisinの至適濃度の検索等に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
irisinによるBMP誘導異所性骨形成評価における組織学的解析について、マッソントリクローム (MT)染色、TRAP染色等を行い、新生骨面積やTRAP陽性細胞の割合等の定量評価を行いrh-irisin投与群と非投与群で比較検討を行う。また、in vitroの実験系では引き続きALP活性についてALP染色やWB法によるタンパクレベルの発現量の比較も行い、その他の骨芽細胞分化マーカーの発現量の比較も行う予定である。また、irisinによるBMPの骨芽細胞分化の促進能や骨形成促進能についてそれぞれのシグナルのクロストークのメカニズムを解明する予定である。
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